ラピダスに就職する若者は頭の悪いギャンブラー

ラピダスが2nm半導体の試作を開始したという報道です。これと同時にラピダスに関する報道が増えています。

・国策半導体ラピダス「薄氷の2027年量産化計画」。政府が追加支援、いよいよ実力が試される局面に;5月8日東洋経済オンライン

・米テンストレントが日本拠点拡充、ラピダスとAI自動運転開拓;5月8日日経クロスネット

・ラピダス拠点に先端産業集積へ 2050年までに総生産額3兆円目標 北海道バレービジョン協議会発足;5月7日HTB北海道ニュース

・「北海道バレーで3兆円」実現を ラピダス新駅も;5月7日テレビ北海道

・ラピダスなどの研究機関、人材育成の募集開始 米新興と;5月7日nikkei.com

これらはラピダスが成功することを前提した報道ですが、ラピダス問題の核心はラピダスが成功する確率は0%なことです。これは半導体の専門家や投資家なら誰もが分かっていることです。おそらくプロジェクトを主管する経産省の官僚も分かっています。ではなぜやるのかというと、お金が出てしまったからです。なぜお金が出たかと言うと経産族のドンであった甘利明前自民党衆議院議員が岸田首相を丸め込めこんだからだと思われます(現在岸田首相の首席秘書官だった島田隆前経産事務次官がラピダス顧問を務める)。現在最先端半導体である3nmを生産できるのは台湾TSMCだけであり、半導体受託生産業界2位のサムスン電子でも委託して貰えない状況です(製品の信頼性がない)。TSMCは約40年半導体の受託生産をやってきてやっと3nmの生産に漕ぎつけており、先端半導体の生産技術は長い経験の産物です。それを新設会社がいきなりTSMCも生産していない2nmをやろうと言うのですから、絵空事としか言いようがありません。だから成功確率0%、失敗確率100%と断言できます。

ネットでラピダス関係の報道を見ていたらYouTubeのPILOT公式チャネルに「乱世の半導体産業。ラピダスの成功確率は?」という標題のYouTubeがアップしてありました(【乱世の半導体産業。ラピダスの成功確率は?】トランプ関税の影響/日本の半導体ブームのきっかけ/エルピーダ倒産の舞台裏/坂本幸雄のラピダス評/モリス・チャンの助言/リードカスタマー)。この中でラピダスの成功確率について聞かれた半導体業界専門記者2名のうち1名は10%、もう1名は数パーセントと言っていました。これは2名ともラピダス関係者を知っていることから0%とは言えないだけで、成功するとは考えられないということです。この中で10%と言った記者がラピダス担当の経産官僚を取材していたら、上手く行かなかったら(生産できなかったら)「産総研の研究施設にすればよい」とボソッと言った旨明らかにしました。現在ラピダスには約1兆7,000億円の資金が投入されていますが、これはNEDO(経産省所管の行政法人)からの研究委託費という形で支出されており、この資金で建設された建物および購入された設備などの資産はNEDOの所有となっています。従ってこれを現物出資に切り替えればラピダスの株式の99%以上をNEDOが持つこととなり、国有企業となります。経産省の官僚はラピダスを使って経産省の焼け太りを狙っているのです。

ラピダスに就職を考えている若者にはYouTubeのPILOT公式チャネルの「乱世の半導体産業。ラピダスの成功確率は?」を見ることを薦めます。これを見ても尚ラピダスに就職する若者は頭の悪いギャンブラーです。しかしラピダスは失敗しても経産省の研究施設になる→その結果ラピダス社員は経産省職員になると読んでラピダスに就職するのなら賢いギャンブラーです。