賃上げはリストラとセット

昨年来日本の上場企業で人員削減(リストラ)が加速しています。昨年は資生堂1,500人、オムロン1,000人、イトーヨーカ堂700人、コニカミノルタ2,400人、東芝5,000人、アシックス170人、富士通3,000人などのリストラ計画が報道されました。武田薬品、協和キリン、塩野義製薬、住友ファーマ、田辺三菱制約などの製薬会社は規模も期限も定めずに希望退職を募集しています。今年に入ってもパナソニックが今年度中に従業員の約5%にあたる1万人程度をリストラすると報道されています。昨年は業績不調な企業がコスト削減のためにリストラを行うケースが中心でしたが、パナソニックやアシックス、富士通などは業績好調であり、従来ならあり得ないリストラです。

この原因は、業績が好調なためリストラ費用を吸収できることが大きいと思われますが、これ以外に2つの原因があると思われます。

1つは選択と集中により事業の取捨選択をしていることです。この結果整理するとされた事業がリストラの対象となっています。パナソニックの場合、歴史あるテレビ生産事業も利益率が低いとして撤退を検討しています。

2つ目は、昨年来5%を超える賃上げを行う企業が増えていることです。これが何故リストラに繋がるかというと、賃上げが必ずしも売上増や利益増に繋がるわけではないことから人件費総額(コスト)を増やさないためには従業員数を減らせばよいからです。これまで賃上げは利益との見合いで行われてきましたが、昨年来の賃上げは物価上昇や他社との採用競争との見合いで行われており、人件費の増加が企業収益を圧迫してきています。人件費のアップによって従業員の生産性が上がればよいのですが、多くの場合そうはなりません。そうなると企業が増益を続けるには人件費のアップ分従業員数を減らすしかなくなります。従って今後大幅な賃上げの後には大きなリストラが待っていると考えておいた方が賢明です。