マンション高騰で福岡市の人口増加が止まる

福岡市は日本で一番元気な街と言われますが、そろそろ踊り場に差し掛かっていると思われます。その兆候として4月24日に開業した大型複合ビルワン・フクオカのオフィス入居率が70%程度に留まっていることが上げられます。ワン・フクオカは福岡市の中心天神のど真ん中に位置しており、ビジネス環境は抜群です。東京でこの立地なら開業前に埋まるのは当然です。それが70%程度の入居率であるということは、企業が少ないことに原因があると思われます。福岡市は福岡空港には天神から10分程度、博多駅には同5分程度で行け、地下鉄もあることから通勤や生活に便利なコンパクトシティとなっています。人口は160万人を超え全国5位の大都市でありながら、住宅価格や飲食料金が安いことで知られていました。その原因は、福岡市は海と三郡山系と脊振山系に囲まれた三角形状の平地になっており、土地が狭い、大きな川がないことから製造業が殆どない商業都市となっているため、住人の所得が高くないからです。多分福岡市民の平均所得は東京の7掛け、大阪の8掛け、広島の9掛けくらいだと思われます。そのため住宅はマンションの割合が高く(マンション化率29.95 %。東京23区の32.10%に次ぐ)なっています。最近までマンション価格は60~70㎡で3,000万円台と東京の半値近くだったため、所得の低い人たちも購入でき人口増加になっていました。これがここ2,3年高騰しています。これは全国の傾向のようですが福岡市の値上がり率は4割を超え全国一のようです。これは資材の高騰など全国共通の要因の他福岡市の見直しが進んだことがあるようです。その結果2024年の福岡市内の新築マンション平均販売価格は5,500~6,000万円と言われています。これには2,3億円の高級マンションの販売が多かったことで押し上げられたこともあるようですが、郊外でも4,000万円台に乗っていると思われます。東京なら4,000万円は安いという感覚ですが、福岡市民の所得が東京都民の7掛け程度であることを考えると高いという印象となります。それに東京の場合は大企業勤務の人が多いですが、福岡市の場合中小企業勤務が多く将来不安が大きくなります。

こう考えると福岡市は必ずしも住みやすい街ではなくなってきており、今後人口増加にストップがかかると予想されます。福岡市がこれまでのように若々しい元気な街であり続けるためには、高所得の職場作りが不可欠となっています。そのためには日本トップクラスの知を集積させる必要があり、九州大学を上回る大学や研究所の誘致が必要となります。