農林中金1.8兆円の赤字を回収するまで米価は下がらない

5月22日農林中央金庫が発表した2025年3月期決算は1兆8,078億円の赤字となっています。この記事に関するヤフコメを見るとこれが米値上がりの原因という声が多数あります。私がヤフコメでこの見方を初めて見たのは3月頃で、1件のみでした。鋭い見方であり感心しました。それが今回は多数の見方となっており、国民は騙されないことが分かります。わずか1年で米の値段が2倍になるとすれば、前年が干ばつや台風の被害で大不作しかあり得ませんが、前年の作柄は並みでした。それで米の値段が2倍になっているということは人為的ということであり、米の流通にかかわる関係者が談合して米の価格を操作しているとしか考えられません。直接的な関係者としては、農林水産省、自民党の農水族議員、全国農業組合連合会(全農)、経済農業協同組合連合会(経済連)および農林中金ですが、これに民間の米の卸売り業者が加担していると考えられます。

農林中金の1.8兆円の赤字は農林中金が傾くほどの赤字であり、農水省や自民党農水族議員は政府に金融支援を打診したと思われますが、自民党が衆議院で過半数割れしていることから法案成立が難しく、結局農林中金に農協が集めた資金の運用を委託している全農および経済連が増資を引き受ける(1.3兆円)ことでまとまったと考えられます。これは全農および経済連の農林中金への預金を出資金に振り替える形で行われたと考えられますが、これでは全農および経済連が農協(組合員)に払い戻す預金がピンチになります。そこで全農および経済連は収入を増やす必要性に迫られましたが、その際に取扱金額が大きい米の卸価格を引き上げ利ザヤを増やすことが関係者で合意されたと考えられます。卸価格を引き上げるためには小売価格を引き上げる必要があり、全農と経済連と卸業者が流通量を絞ることで米の販売価格を引き上げていったと考えられます。

コメの需要は年間約700万トンであり、全農および経済連はこのうち約半分を取り扱っています。昨年農協は60kg約16,000円(5kg約1,300円)購入し、約23,000円(5kg約1,900円)で卸していると言われていますので、取扱額は1.3兆円程度になります。今年は農協が農家から購入する価格が60kg約23,000円と言われており、農協は卸業者に約33,000円で販売すると予想されます。これにより全農および経済連の取扱額は約1.9兆円となり、6,000億円程度の増収となります。これなら来年には1.3兆円の出資金を取り戻せます。従って来年までは米の高値が続くと考えられます。そのためには米の流通量を絞る必要があることから、多くの米が全農や農協、卸業者の倉庫で眠ることになります。