石破首相の「日本の財政はギリシャより悪い」で日本暴落
5月19日の参院予算委員会で国民民主党の浜野喜史議員が「財政的な制約があるから減税を躊躇しているのか。減税して消費を増やすべきだ」と迫ったのに対し、石破首相は「わが国の財政状況は間違いなく、極めてよろしくない。ギリシャよりもよろしくないという状況だ。」と述べましたが、これは歴史において日本暴落の契機となったと記録される発言です。深刻度は江藤農相失言の比ではありません。
ギリシャは2009年に財政危機に陥りましたが、GDPに占める政府債務(日本における国債)の割合は約115%とそんなに悪い数字ではありませんでした。しかしギリシャの場合EUに加盟しており自国通貨建ての国債が発行できず、政府は主に外国金融機関からの借入で財政資金の不足をカバーしていました。それまで財政赤字の割合は約5%と公表されていましたが、政権交代で実は約12.7%だったことが明かになったことから、新規の借入が出来なくなったことおよび金融機関が一斉に融資の回収に動いたことから財政危機に発展しました。
日本の場合、GDP(約600兆円)に占める国債(約1,300兆円)の割合は200%を超えており、世界最悪です。しかしこの国債は自国通貨建てであり、かつ約90%を国内居住者が余裕資金の運用として保有しており、ギリシャのように債権者が一斉に回収(売り)に動くことは想定できません。従って石破首相の日本の財政は「ギリシャよりもよろしくない」という発言は事実と違うのですが、一国の首相が国会の答弁で述べたとなると真に受ける人たちが出てきます。金融機関は保守的であり、悪い情報には敏感に反応します。これまであまり気に留めなった国債残高を過剰に意識するようになれば、国債保有額を減らす動きになります。実際最近期間10年や30年の国債が売られる(利率が上がる)、発行しても売れないなどの状況が発生しています。これは石破首相の発言を消化している(審査で考慮している)ためとも考えられます。それでも日本の国債は日銀が半分以上保有し、その原資は銀行が日銀に預け入れた当座預金(元をたどれば個人法人の預金)であることからまだまだ購入余地があり、直ぐに国債が発行できない状態(財政危機)になることは考えられません。ただし金利の上昇には繋がると思われます。また海外の投資家が円売りに転じ、円安が急激に進む(物価が上昇する)ことが考えられます。このように石破首相の今回の発言は日本に悪い影響を与えるのは確実です。石破首相は頭がさび付いており、日本を奈落の底に落としそうです。