金銭解雇を認めた方が社員のため
日産が約2万人、パナソニックが約1万人の人員削減を行うと発表しましたが、これ以外の多数の企業でも非公表で行われています。トランプ関税で今期の業績が悪化することもありますが、2年連続の大幅賃上げでコストが急上昇していることも大きな原因です。物価上昇と採用競争激化を考えると今後とも賃上げは避けられませんが、賃上げに応じて社員の生産性が上がるわけではありません。そこで今後は賃上げ率に相当する人員削減を行う企業が増加すると考えられます。この場合業績の良い企業は割増退職金を支払うことになりますが、そうでない企業は自主的に退職するように仕向ける(圧力をかける)ことになります。これには陰惨を極めるものもあり、やる方もやられる方もダメージを受けます。今後人員削減が年中行事になるとすれば、会社がお金を払って社員を解雇できる制度(金銭解雇)を法制化した方が良いように思われます。現在でも解雇の金銭解決制度があるようですが、これは違法な解雇の場合に労働者に金銭が支払われることによって労働契約関係が終了するという制度です。
金銭解雇では毎年直近3年間の人事評価に基づき下位3%の社員を、20代なら6か月分、30代なら1年分、40代なら2年、50代なら3年分の前年年収額を支払うことで解雇できるようにします。一定の金額を払う点では会社都合の希望退職の募集と同じですが、会社が辞めさせたい社員を辞めさせることが出来る点が異なります。希望退職の募集では辞めて欲しい社員が辞めず、辞めてほしくない社員が辞めてしまうというミスマッチが生じると言われていますので、これを防ぐことができます。良くこの制度では会社に濫用され雇用が安定しないと言われますが、成績下位者の一定割合に限定されること、および所定の年収を払うことすれば濫用は出来なくなります。これを原則にすればタダで辞めさせられる人を少なくできます。現状ではタダで辞めさせられる人が多く、金銭(退職金以外)の支払いを受けられる人は少ないと思われます。必要とされないのに会社に居座ることは精神衛生上良くないし、辞めたら自分に適した仕事に出会うかも知れないので、金銭解雇制度は社員にとっても悪くないと思われます。それに終身雇用制の弊害(できの悪い社員が溜まってしまう)を是正するためにも必要な制度です。