輸入米の関税を撤廃すれば国産米はいくら高くても良い

小泉農相が備蓄米を随意契約で小売業者に直接売り渡す制度を導入したことから、続々と備蓄米が消費者の元に届いています。

政府の売り渡し価格は60キロあたり消費税込みで1万1,556円、5キロに単純に換算すると963円で、これに一般的な流通経費が上乗せされ店頭での価格は、5キロあたり税抜きで2,000円程度、税込みで2,160円程度になると想定されています。これまでの政府売り渡し価格は入札制のため60kgあたり約2万3,000円程度ですから半額程度になり、その分小売価格も大きく下がっています。政府売り渡し価格については、古古米または古古古米なのだからもっと安くても良いという声もあり、国民民主党玉木代表の「1年たったら動物の餌になるようなもの」という発言や立憲民主党原口氏の「家畜用だろう?古古古米。5キログラム83円のものが何故、2000(円)もするのか?」というXの投稿に繋がっています。共にもっと安く売り渡しても良いのではないかという主旨のようですが、「動物の餌」や「家畜用」という表現が購入者を侮辱するものとして批判されています。これらの発言には、その前の江藤農水相の「私はコメは買ったことはありません。支援者の方々がたくさんコメをくださる。売るほどあります、私の家の食品庫には」という発言と共通する背景があります。それは国会議員にとって米の値段なんかどうでもよいということです。国会議員の年収は2,000万円を超えていますから、米の値段が倍になったとしても痛くも痒くもありません。だから古古米や古古古米に群がる庶民の気持ちは全く理解できません。そういう人たちが大部分だから米問題は当分解決されそうもありません。

今回古古米を約21万トン、古古古米を約8万トン放出すると残り備蓄米は約30万トンとなります。この30万トンは続けて放出するのか、それとも緊急用に残しておくのか難しい問題となります。今回古古米と古古古米の安値放出に農協や農水族議員が抵抗していないのは、あっという間に売り切れまた高値米を買わざるを得なくなると読んでいるからと言われています。現在の備蓄米状況からすればその通りと言えます。従って次の小泉農相の決断が注目されます。

私は備蓄米の補充として無関税で米国産米またはオーストラリア産米などを約100万トン輸入すべきだと思います。米国産米なら5kgあたり1,000~2,000円で仕入れ、その価格で小売業者に販売すれば、小売業者は3,000円以下で消費者に販売できます。この値段なら消費者も納得します。この場合でも国産米は4,000~5,000円を維持すると思われますが、これはこれで仕方ないと思われます。収入的に買える人が買えばよいと思われます。決して許されないことは、輸入米に高関税を課して輸入しても国産米と同価格にしかならないにすることです(輸入は自由という前提)。これにより国産米もいずれ5kgあたり3,000円程度に収束すると思われますが、そうならない場合は関税を引き下げ輸入米が3,000円以下で買えるようにして、低所得者でも買える値段の米を用意することです。

尚備蓄米放出では米問題は解決しないという意見がありますが、これは中長期的問題であり、分けて考える必要があります。