日産カルチャーに染まった社員を雇う会社はない

6月6日格付け会社ムーディーズ・ジャパンは日産の発行体格付けをBa1からBa2に格下げしたと発表しました。

Ba2は「上から数えて12番目の格付けである。また、Ba2は、一般的には投機的な債券とされる。Ba2は、財務力が不十分で、債務不履行の可能性がある場合に付与される。」となっています。この格付けは資金調達が厳しくなることを意味しています。

これにより日産の資金繰りは綱渡り状態になることが予想されます。借入(借り換え)が厳しくなるので、日産本社ビルの売却、ルノーと共同所有していたインド工場の持ち分の売却、15%所有するルノー株式の売却、追浜・湘南工場の売却などで現金を作ることになります。同時に支出を削減する必要があり、2万人の人員削減計画に繋がっています。近々日産本社で希望退職の募集が始まるようですが、辞めた社員の再就職は困難を極めることになります。20代、30代の若手には楽観論もあるかも知れませんが、そうはなりません。なぜなら多くの会社は、日産をここまで悪くしたのは日産のカルチャーであり、日産の社員は悪いカルチャーに染まっていると考えるからです。他社の社員を採用する場合、前の会社の業績は大変重要です。なぜなら業績の良い会社の社員は良いカルチャーを身に着けており、そのカルチャーを自社に持ち込んでくれることが期待できるからです。例えば日本一の高収益企業であるキーエンスに居た人は引く手あまたです。商社なら戦闘力のある伊藤忠出身者、銀行なら抜け目ない三井住友銀行出身者なら先ず大きな外れはありません。

一方倒産会社に居た人は管理職ではなくともその会社のやり方を身に着けており、採用したら自社にそのやり方を持ち込みます。その結果自社は悪くなることはあっても良くなることはありません。だから敬遠されます。

日産ディーラーの営業マンやメカニックは人手不足であり、引手あまたではないでしょうか。中国のBYDや韓国ヒュンデは日本での営業体制を強化していることから、日産ディーラーが引き抜きのターゲットになっていると思われます。工場従業員についてはトランプ関税により米国輸出の減少=国内生産の縮小が予想されていることから、自動車工場への就職は狭き門になるかも知れません。建設や工事関係に流れる人が多くなる可能性があります。

このように勤めていた会社の不振は社員の再就職にも悪い影響を及ぼします。