農業に従事しないのなら農地は非相続に
2倍に高騰した米価は小泉農相の備蓄米随意契約放出で値下がりに向かうと予想されます。今の米価では多くの消費者が購入を減らすしかなく需要が目に見えて減ってきますから、備蓄米が無くなっても値下がりは続きます。それに加えてカリフォルニア米や台湾米の輸入が増えていますので、乗り換えも進んできます。その結果国産米の需要は将来的に半減するかも知れません。
その量なら国内米農家が高齢化で廃業しても供給できるかも知れませんが、経営面では耕作面積の拡大は避けられません。現在の米農家1戸当たりの耕作面積は約2haと言われていますが、米栽培でそれなりの生活を維持するには一戸当たり10ha必要と言う認識になっています。平野部では既に50~60haの農業法人も出て来ているようですが、中山間部では規模の拡大が遅々として進んでいません。理由は1戸当たりの農地が小さいこと、権利が入り組んでいること、棚田など高低差がある田が多く圃場整備が難しいこと、農地は先祖代々受け継ぐという考え方が強いことなどです。特に農地を先祖代々受け継ぐ=守るという考え方が農地の集約を阻んでいるように思われます。
ここで問題になるのが農地の相続です。農地法では農地は農家=農業従事者しか取得できないことになっていますが、相続の際には農業に従事しない相続権者が相続しています。これは農地法の考え方に反することになります。その結果都会に住む非農家の相続人が農地を抱え込み、荒れさせることになります。農地の取扱について農地法の考え方を基本とするとすれば、相続において農業に従事しない相続権者は農地を相続できないことにすべきです。その結果浮いた農地は農地中間管理機構(農地バンク)が買い取り、農業従事者に配分することにします。農業従事者が高齢化しており今後廃業する人が多くなるので、この制度の出番は増えると予想されます。農地を相続した者も遠隔地にいて管理に困っている人が多いので助かると思われます