新聞記者は生活のために冤罪記事を書く

横浜市の大川原化工機をめぐる冤罪事件で、警視庁公安部と検察の捜査の違法性を認め賠償を命じた東京高等裁判所の判決について、警視庁を管轄する東京都と検察を管轄する国は6月11日上告しないことを明らかにし、警視庁と東京地検は当事者に謝罪するコメントを出しました。

警視庁:「捜査によって原告をはじめとする当事者に多大なご心労、ご負担をおかけしたことについて、深くおわびを申し上げたい」
東京地検:「大川原化工機およびその関係者の皆様に多大なご負担をおかけしたことについて、おわび申し上げたい」
警視庁と東京地検は当事者への直接の謝罪についても速やかに行いたいとしています。

こういう冤罪事件には必ず新聞のアシストがあります。新聞は警察または検察からのリークを受け記事を書き嫌疑が事実のような雰囲気を作っていきます。これによって国民は事件に多くの疑義があることが分からず、容疑者を犯罪人扱いすることになります。容疑者にとっては警察および検察の取り調べよりも周りで犯罪者になっていることの方が辛いと感じることが多いのではないでしょうか。

冤罪事件では毎度登場する朝日新聞が6月11日反省記事を掲載していますが、大川原機工側の反論を掲載しなかったことが間違いだったと書いています。それもそうですが、新聞社としては警察または検察からの公式発表ではないリーク情報を検証(裏取り)もせず特ダネとして掲載するシステム(社内審査体制)に問題があります。警察や検察がリークするのは証拠が十分でないことから世論で有罪に持っていくためであることは冤罪の歴史から明らかです。従って検察および警察のリーク情報=危ない情報との認識が必要となります。たぶん司法記者にもこの認識はあると思いますが、記事になることが少ないことから記者を続けるために危険と分かっていても記事することに繋がっていると思われます。今後は新聞社として警察および検察のリーク情報は裏が取れない限り掲載しないというルールを設定する必要があります。そもそも警察官や検察官のリークは公務員の守秘義務違反と言う犯罪行為であり、これを受けた新聞記者は犯罪を成立させたとして社内規則で処分する必要があります。こういうことをしない限り新聞が冤罪をアシストすることは無くなりません。