大河原化工機冤罪、検証責任者は起訴した元東京地検次席検事!

大川原化工機への警視庁と東京地検の捜査を違法と認定した東京高裁判決が確定したことを受け、6月20日警視庁の鎌田徹郎副総監と東京地検の森博英公安部長が同社本社を訪れ、大川原正明社長と島田順司元取締役に謝罪した場面がテレビニュースで放映されました。

鎌田副総監:「当庁の捜査により、多大なご心労、ご負担をおかけしましたことをおわび申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」

森公安部長:「二度とこのようなことを起こさぬように適正な検察権行使に努めて参ります」

大川原社長:「もっと早い段階で謝罪をしていただきたかった。十分に検証していただくとともに二度とこういうことが起きないような、良い警察、検察にしてほしい」

警察、検察は淡々と事実を認め謝罪し、会社側が冷静に受け入れたという印象でした。報道では謝罪時に2人がそれぞれ相手の名前や社名を言い間違える場面をピックアップしていましたが、これは極度の緊張によるものであり、誠意ある態度の表れとも言え、揶揄するものではありません。

それよりも私が驚いたのは、検察が最高検の山元裕史次長検事を責任者とするチームを立ち上げて今後検証を進めるとしていることです。山元次長検事の経歴を見ると2020年に東京地検次席検事に就任しています。2020年と言えば東京地検が大川化工機を起訴した年であり、山元検事は次席検事(地検各部門実務所管)として起訴に直接的または間接的に関わっていることになります。東京地検は翌2021年に7月に起訴を取り消していますが、山元検事はこの前の同年4月に東京高検に転出しており、起訴取り消しのための転出のように見えます。こんな山元検事が最高検で本件の検証責任者を務めることは誤りを犯した者が検証責任者になることを意味し、公正な検証結果は期待できません。

拘禁中に亡くなった相嶋静夫さんの遺族が「まだ謝罪を受け入れられる状況ではない」として欠席し、代理人弁護士を通じて警察、検察と利害関係がない第三者による検証などを盛り込んだ要望書を手渡したということですが、こういう検証体制に対する反発があるように思えます。大河原化工機の大川原正明社長と島田順司元取締役も歩調を合わせて検証体制の見直しを要求する必要があります。

最高検は東京地検の次席検事や検事正出身者の次の昇進先であり、最高検の検証は殆ど実効性がありません。今回の冤罪は経済安保法違反事件の初摘発の実績を作るために起きたものですが、最高検には司法取引を最初に使った実績を作るため元日産会長ゴーン氏を有価証券報告書虚偽記載という実体のない容疑で逮捕した元東京地検の検事(この検事は東京オリンピック贈収賄容疑では元電通専務の高橋治之氏をみなし公務員というトリッキーな理屈で逮捕したほか、広島の参議院選挙買収事件では不起訴を条件として地方議員に金銭の受領を認める供述をさせている)も昇進在籍しており、悪いことをして出世した検察官の巣窟という印象しかありません。相嶋顧問の遺族の言うように外部者による検証が不可欠です。

*山元次長検事は7月に高検検事長に昇格し、この不都合な状態を解消するのでは?よくやるパターン。

*ゴーンを逮捕した検事(東京地検特捜部長)は最高検刑事部長→法務省刑事部長を経て、今日の人事で法務事務次官に昇進していました。悪い奴ほど偉くなるのが今の検察庁です。