NHKのせいで日本からテレビが消えていく
NHKの2025年3月期の決算が発表されました。概要は次の通りです。
事業収入 6,125億円 -406億円(前期との差額)
事業支出 6,574億円 -93億円
事業収支差金 -449億円 -312億円
今期はNHK受信料値下げが丸々効いてくる期なので、前期より312億円多い449億円の赤字となっています。計画では570億円の赤字でしたが、受信料収入が計画より79億円増えたこと、事業支出が42億円少なくなったことにより、赤字が小さくなったとしています。民間企業なら赤字の縮小は経営努力の結果として褒められることですが、NHKの場合、赤字は取り過ぎた受信料の還元額が小さくなることを意味し、誉められません。計画がかなり甘くなっていたことが伺えます。この赤字はこれまでNHKが徴収した受信料の余りを積み立てた還元目的積立金1,942億円を取り崩して補填されますから、あと4年はこのような赤字決算となると予想されます。449億円の赤字ながら事業支出は93億円しか減っていないことで分かるように、NHKは黒字にする気は全くありません。本来なら受信料を1年間今の3分の2(約1,400円)にして還元目的積立金1,942億円を一挙解消(この1年間の決算が1,942億円の赤字)した方がNHKに自助努力が求められてきます。単に剰余金を使い切るために4年間も赤字決算にするほど不毛なことはありません。
ただし449億円の赤字となったことで、年間のキャッシュフローのプラスが大きく減っています(-449+減価償却費639億円=190億円。これまでは毎年1,000億円近いプラスだった)。この結果新放送センター建設代金の支払いもあり現金預金・有価証券残高が1,046億円減っています(それでも4,416億円の残高がある。加えて長期保有有価証券残高が1,152億円あり、超優良企業の財務内容)。
今回の決算で意外だったのは受信料収入が計画より94億円も良くなっていることです。あとで責任追及されないように計画を甘くしたこともあるでしょうが、悪評高かった集金や契約獲得業務の委託を止めたことから、もっと悪くてもおかしくなかったと思われます。しかし契約総数(4,067万件)が前期より40万件減少(前期は37万件減少)していることに注目する必要があります。NHKとの受信契約を解約する場合テレビ受信機を廃棄する必要がありますから、契約総数の減少はテレビ受信機の減少を意味します。その結果民放を見る人が少なくなり、テレビメーカーのテレビ販売台数が減るということになります。NHKはネット配信も行っていますが、ネット配信契約を解約する場合には受信機であるPCやスマホの廃棄は求めないということ(求めたら大変なことになる)ですから、テレビ受信機の廃棄についても見直す時期に来ています。こんなバカな制度があるのも自民党がNHKを守っているからですから、NHK受信料に反対な人は次の参議院選挙で自民党の候補に投票しないことが必要です。