日産追浜工場は防衛省が取得すればよい

7月11日、日産はこれまでリストラの一環として閉鎖と報じられていた追浜工場で台湾の鴻海精密工業(鴻海)と電気自動車(EV)を共同生産する協議をしていると報じられました。日産の車の他に鴻海が自社のEVを生産することを考えているようです。

追浜工場の年間生産能力は24万台ですが、現在小型車ノートとその派生車ノートオーラのみを製造し、稼働率は5割を下回っていると言われているので、鴻海のEVを製造すれば採算ラインに乗ることが期待できるようです。

しかしこれは日産商品(ノート、ノートオーラ)や鴻海EVの販売次第であり、今の日産に必要なものは追浜工場の売却代金とコスト削減であることから、不確定要素である本プロジェクトには乗るべきでないと考えられます。

日産は7月10日外貨建て債で総額8,600億円を調達したと報道されましたが、利率はユーロ建てが4年債と8年債でそれぞれ5.25%と6.375%、 ドル建てが5年債と7年債および10年債で、それぞれ7.5%、7.75%、8.125%となっています。これを見ると今後利払いが大変になることが分かります。かつ日産は2025年(約5,580億円)から2026年にかけて約1兆円の社債償還を控えていることから、手前の橋を渡ったに過ぎない状況です。従って追浜工場売却によって資金を獲得することと追浜工場に要するコストを削減することはとても重要となります。

ということで追浜工場は予定通り売却するのがベストですが、問題は売り先です。追浜工場は敷地面積約170万㎡と広大であり、かつ横須賀市の海岸部にあることから民間の一括購入者は現れないと考えられます。従って民間に売却する場合数社に分割して販売することになり、その結果は売却に時間が掛かる、売却代金が安くなることが予想されます。そんな中日本を取り巻く国際情勢から良い条件で購入する候補があります。それは防衛省です。地図で見れば分かりますが、追浜工場は自衛隊および米軍の横須賀基地の近くにあることから、海上自衛隊や米国海軍の武器弾薬製造工場および保管庫としての利用が考えられます。軍艦が着岸できる岸壁があることも好都合です。これには先例があります。それは広島県呉市の日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(日鉄呉)の跡地です。敷地面積約130万㎡で追浜工場より約40万㎡狭いですが、防衛省が一括購入する予定です。たぶん首都圏でこれくらいの防衛拠点用地は今後出ないと考えられます。ここを防衛省が取得すれば相当の雇用も維持されると考えられます。日産が今のような苦境に追い込まれた原因は、司法取引制度を初めて使った実績を作るために無理やり(冤罪)ゴーンを逮捕した東京地検特捜部(特捜部長は目論見通り法務事務次官に出世)にあることは法曹関係者なら自明のことであり、防衛省が追浜工場を取得することはその罪滅ぼし(国家の犯罪)になります。