日本の防衛予算は日銀引受の防衛国債で賄う

7月7日米国トランプ政権は日本に25%の関税を課すと通告しました。赤沢大臣が7回も米国を訪問し交渉に当たりましたが、全く効果がありませんでした。これは赤沢大臣が持参する交渉カードが子供騙しのものだったことからある程度予想されていました。例えば自動車への追加関税については、

・日本は米国で約127万台(2024年度)生産し、米国の雇用に貢献している(輸出約53万台)を訴える

・米国メーカー輸入車の安全基準を一部米国基準とする

・米国生産車を日本に輸入しトヨタなどのディーラーで販売する

ことで撤回してもらう作戦だったようです。しかしこれらは自動車貿易赤字(約6兆円)の解消にならないことは明らかであり、事業家トランプが承認する訳がありませんでした。従って米国の対応は当然であり、日本側にも驚きは無かったように思われます。たぶん自動車問題については、日本の自動車メーカーが米国に工場を作るかどうかにかかっていると思われます。自動車メーカーとしては、世界での生産バランスを考えて工場を配置していますから、簡単に米国に工場を作るとはならないと思われます。トヨタはトランプ大統領の4年間は米国輸出で利益が出なくてもかまわないと決めているように思われます。

米国の圧力は関税の他に防衛費増額があります。トランプ政権は2026年の会計国防予算を1兆119億ドル(約146兆円。約17兆円=13%増)要求すると発表しました。これはロシアのウクライナ侵攻や中国の軍事力強化に対応するためであり、米国の危機感の表れです。これまでNATOや日本は米国と軍事同盟を結んで自国の安全を確保して来ましたが、その実態は米国依存であり、軍事予算を2%以下にして経済政策や福祉を充実させてきました。米国の2024年度(2023年10月~2024年9月)の財政赤字は1兆8,330億ドル(約265兆円)となっており、普通に考えても同盟国に軍事費の負担増大を求めるのは当然と言えます。先ずロシアの脅威に直面している欧州諸国(NATO)がこれに応じ2025年6月、軍事予算を2035年までにGDP比5%まで引き上げることを決議しました。この結果日本にも防衛予算引き上げの圧力がかかってきています。

これに関して石破茂首相(自民党総裁)は7月2日日本記者クラブ主催の党首討論会で、米国から防衛費の対GDP比5%への増額要求は「出ていない」と述べ、防衛費は「日本が決めるべきで、外国から言われて『わかりました』と決めるものではない」と述べています。また7月10日のBSフジ番組では、安全保障やエネルギーなどで米国依存から「もっと自立するよう努力しなければいけない」とも述べています。この発言についてルビオ米国務長官は7月11日「日本が軍事力を強化する考えは、不快には思わず、むしろ励まされる」と語っています。米国としては日本が防衛予算を増額さえすれば結果オーライという姿勢です。

日本は周りに中国、北朝鮮、ロシアという核兵器保有国があるという地勢状況、かつこれらの国と紛争になったとき米軍は当てにならないことが明かとなったことから、自衛力の強化は焦眉の急となっています。従って防衛予算は米国に言われなくても増額すべきものです。問題は財源ですが、防衛予算は国の存立基盤に関わるものであり、国民の生活に関わる一般会計予算とは別枠で確保すべきものです。従って財源も別枠で確保すべきであり、それは税でも赤字国債でもなく、防衛国債がふさわしいと考えられます。先ずは脆弱な防衛体制を世界5位くらいのレベルに引き上げる必要があり、これから10年くらいは10兆円を投入する必要があります。この財源を確保するため日銀引受(日銀券が原資)で毎年10兆円の防衛国債を発行します(法整備が必要)。日銀は防衛国債勘定で管理します。防衛国債勘定は10年経てば100兆円になりますが、これは10年ごとに日銀券と相殺します(残高0となる。対応する日銀券も残高0)。日本の国の存立基盤を確保するため何ら問題ない手法です。あとはインフレにならないように金融調節を行えばOKです。