国の支出を減らさないと増税は止まらない

参議院選挙の真っ最中ですが各党とも現金給付や減税など耳障りの良い公約のオンパレードです。石破首相は2万円の現金給付を今後も続けるかも知れないと言い出しました。石破首相と言えば国会で「日本の財政はギリシャより悪い」と言った人です。そんなに財政が悪い国で財政が更に悪化することになる現金給付を続けると言うのですから、矛盾もいいところです。この人の場合、矛盾していても全く問題ないと言い張りますから呆れます。これまでずっとこれで生きて来ているので自分ではおかしいと思わないようです。だから国民に嫌われています。

野党は減税を訴えていますが、選挙は終わったら本気で減税する気はないと思われます。立憲民主党は消費税を0%にすると公約していますが、野田代表と枝野元代表は消費税減税反対であり、国会で成立する見込みがないことから公約に掲げることを認めています。野田代表は民主党政権で消費税は引き上げないという公約を反故にして引き上げた前科があり、嘘つくことなどへの河童です。国民民主党は年収の壁の年178万円への引き上げやガソリン税の減税を目玉にしていますが、昨年の衆議院選後補正予算可決の際に実現可能だったのに、子供だましの合意書に署名して実現しませんでした。それは国民民主党が子供レベルだからです。日本維新の会は、食品にかかる消費税を再来年3月までの時限措置として撤廃するとしています。これも実現する気はありません。この3党は自民党と対立しているように見せていますが、実体は自民党の2軍、3軍であり、この3党が議席を増やしても何も変わりません。

減税をやるために財源を探すのはナンセンスです。減税用の財源はそもそもないからです。なぜなら今年の予算を見れば税収予想78兆円に対して支出が115兆円と税収より支出が37兆円も多くなっています。不足分を国債28兆円などで賄っています。家計は収入の範囲内でしか支出できませんが、国の予算の場合足りなければ国債を発行できることから支出に歯止めがかかりません。しかし国債は将来税収で返すことになっていますから、常に増税や社会保険料の引上げが必要になります。即ち、税収の額を上回る支出の予算を設定すれば、不足分は国債で賄い、その国債を減らすために増税や社会保険料の引上げが必要となります。と言うことは、減税するためには支出を減らすしかないことになります。

日本の予算は税収不足と言うよりも支出過剰です。本来税収の78兆円以内に支出を抑えるべきところ抑えず、逆に増やしていることから、増税するしかなくなっているのです。だから政党が減税を公約にするのなら、支出の削減が公約に入ってこないとおかしいのです。その場合医療費や介護費も削減対象に入ってきます。その前に無駄な費用(例えば郵便局網の維持に650億円の補助金を支出する、1日100人も乗らない肥薩線を復旧するなど)を削れば約5兆円は削減できます。これなら確実に減税できます。本気で減税を行うなら支出削減しかありません。