消費半減で米の増産は必要なし
農水省は7月18日、7月7~13日に全国の小売店で販売された米5キロの平均価格が前週よりも66円安い3,468円だったと発表しました。政府広報紙の新聞はこれをそのまま記事にしていますが、生活者としては「馬鹿か」という感想だと思われます。それは比較すべき米の価格は銘柄米であり、備蓄米込みの価格は意味がないからです。銘柄米の店頭価格は4,000円後半であり、殆ど値下がりしていません。備蓄米の販売量が増えたことが店頭販売価格の値下がりの原因です。
私がいつも購入しているドラッグストアでは備蓄米は見かけませんが、カルフォルニア米と台湾米が銘柄米と同じくらい陳列されています。値段は約3,500円で銘柄米より1,000円以上安くなっています。カルフォルニア米は何回か買ったことがあり、味は全く問題なく継続して買おうと持っていたら陳列が途絶えてしまいました。売れすぎて品不足になったようです。台湾米も初めて買って食べましたが、全く問題ありません。だから高い銘柄米を買う理由はありません。
備蓄米や輸入米が増えているのに銘柄米の値段が下がらないのは、小売店が高値で仕入れた銘柄米の在庫を抱えているからだと思われます。このドラッグストアでも陳列していた銘柄米を倉庫へ移動していました。小売店の在庫が捌けるまで銘柄米の値段は下がらないと思われます。今後銘柄米は輸入米の値段の3,500円を目指して下がると思われますが、その先には悲惨な未来が待っています。と言うのは、今回の値上がりで米の消費が大きく落ちていることが予想されるからです。
総務省が7月4日発表した5月の家計調査で米の支出が昨年5月と比べ8.2%減少しています。米の値段は倍くらいになっていますから、同じ量買っていれば米の支出も倍になっているはずです。買う量が半分になったら米の支出は昨年5月と同じ(0%)となります。これが8.2%減ったということは、昨年5月と比べ買う量が半分以下になっていることを意味します。従って米の消費が大幅に減少していることは確実で、場合によっては半減している可能性があります。農水省は米の販売価格だけでなく販売数量も把握すべきです。この予測が当たっているとすると、米は昨年の生産量でも余ることになります。今年の米の収穫量は前年比56万トン増の735万トンになる見通しと報道されていますが、米の消費の減少により大幅に余ることが予想されます。その結果米価は5kg3,000円を切るレベルまで下落しそうです。日本では今後米の消費減と人口減で米不足にはならないと思われます。