ガソリン暫定税率廃止の財源は支出削減

8月1日立憲民主党など野党7党は、ガソリンの暫定税率を11月1日から廃止するための法案を共同提出しという報道です。

ガソリン税は、ガソリンに課される揮発油税と地方揮発油税の総称であり、本来の税額は1㍑当たり28.7円ですが、これに暫定的な税金(暫定税率)が載せられて現在53.8円となっています。暫定税率と言う言葉から分かるように道路整備資金の不足を補うために一時的に設けられた(1974年)ものだったのですが、その後も継続され使途も道路整備以外に使える一般財源化しました(2009年)。そのため暫定税率はいずれ廃止することで自民・公明・国民間で合意している(2024年12月)ようですが、いつ廃止するか、どのような経過措置をとるかで合意できずずるずる来ているようです。

自民党のプロパガンダ機関である新聞テレビでは、暫定税率による税収が約1.5兆円あり、この代替財源の確保が暫定税率廃止の鍵と論評し、暫定税率の廃止を牽制しています。これは国民に代替財源=増税を想起させ、暫定税率廃止反対に誘導するものであり、これまで減税を阻止するために使われた世論操作の常套手段です。この論理では減税は一切実現しません。現在国民の多くが収入増加を上回る物価上昇で生活が逼迫しており、減税を切望しています。こんな中ある税を廃止するのならその分新しく税を設ける、既存の税の税率を上げるというのでは全く意味がありません。

ではどうすればよいのかというと、支出(予算)を減らすことです。暫定税率の廃止で税収が約1.5兆円減るのなら、支出を約1.5兆円減らせばよいのです。そもそも日本の予算は収入約86兆円に対し支出約115兆円と支出が収入を約29兆円もオーバーし、国債を発行して賄っています。家計なら収入の範囲内に支出を抑えますし、企業なら収入の不足分を借入金で賄うことはありますが、それは担保資産がある場合か、将来の収入で借入金を返済できることが確実な場合だけです。日本の場合、将来は人口減少が予想され、かつ産業競争力が落ちていることから、現在の国債残高(約1,300兆円)も返済不能な状況です。従って税収不足を国債を発行して賄うことは限界にきています。そのため減税するならその分支出を減らすしかないことになります。そもそも日本の予算は税収不足というよりも支出過剰です。現在税金と社会保険料を合わせた国民の公的負担割合は48%程度を言われていますが、教育費の自己負担増加などを考えると実質的公的負担率は50%を超しています。財政が健全な国は税収の範囲内で支出を行っており、返済不能な国債は発行していません。この原則から行けば日本も税収の範囲内で支出予算を組むべきだったのですが、国債には銀行のような審査機関がないことから野放図に発行して来ました。この戦犯である自民党が昨年の衆議院選挙および今年の参議院選挙で大敗し消える方向にあるところから、支出は税収の範囲内に留めると言う当たり前の原則に戻る時期が来たと思われます。暫定税率廃止に伴う税収減は約1.5兆円であり、これは各省庁で優先順位下位の予算を廃止して対応すべきです。