日本記者クラブはオールドメディアの象徴
8月6日、LPGA全英女子オープンで優勝した山下美夢有選手が日本記者クラブに呼ばれ記者会見を行いました。日本記者クラブに呼ばれた女子プロゴルファーは、2019年に同じく全英女子オープンを制した渋野選手以来2人目だそうです。これについてネットでは「記者会見に呼ぶ基準はどうなっている?LPGAメジャーに優勝した選手は6人もいるのに。笹生優花選手なんか2回も優勝しているのに呼ばれていない」と日本記者クラブの運営を訝る声が聞かれました。
ここで味噌がつきましたが、肝心の記者会見の運用も酷いものでした。先ず司会者がゴルフの素人で、山下選手への質問が的を得ず、かつ話すテンポがのろく聞いていていらいらしました。それに対して山下選手の回答は簡潔で短いため、司会者の間抜けぶりが浮き彫りになりました。プロスポーツ選手に話を聞くのなら、そのスポーツに詳しい人を司会者にすべきでした。
司会者が10分程度総括的な質問をした後出席者に質問を求めましたが、なんと1分以上手が上がりませんでした。そんな中最初に手を挙げたのは北國新聞の記者で、聞いたことは「山下さんのお母さんは能登七尾市出身で山下さんも被災地に入られたり支援金を送られたりしていますが、被災地の方が山下さんの優勝を喜んでおられます。被災地の方々に何か一言頂けないでしょうか」でした。これは本来ゴルフに関する質問が出終わったところで出るなら良い質問ですが、最初にする質問ではなかったように思われます。この質問をした北國新聞の記者は、会場から質問が出なかったことから気を利かせて質問したと思われました。その後はいくつか質問がありましたが、「賞金は何に使うのか」「アメリカで好きな食べ物は何か」「アメリカで行きたいところはあるか」「表彰式のあと家族と話したことは何か」とかまるで週刊誌の記者のような質問が多く、日本の優秀な記者が集まるところという日本記者クラブの印象が崩壊してしまいました。1人だけ老齢の方が「3日目に崩れたがその原因は」「最終日13番ホールのバーディで優勝できると思ったか」「最終18番は逃げ切るために安全に行ったのか」とか熱心に見ていたこと伺わせる質問をしていましたが、ああいう質問がもっと多くて良かったように思われます。全体としては質問のレベルが低く、山下選手もがっかりしたのではないでしょうか。岡本綾子選手なら途中で席を立っていたかもしれません。日本記者クラブは記者会見に呼ぶのならもっと真剣に準備すべきだし、呼ばれた人が「さすが日本記者クラブ」と感心するような質問を(質問が出来る記者を)用意するべきだと思いました。
私も日本記者クラブには2,3回行ったことがありますが、あそこには会員しか入れず(私は会員と一緒に入った)、会員になるには会員数名(2名?)の紹介が必要などの高いハードルがあるようです。しかし山下選手の記者会見を見ると選ばれた記者が集まっている様子はなく、最近よく言われるオールドメディアの象徴のように思われました。今後は日本記者クラブに呼ばれても行かない(来ない)人が増えるのではないでしょうか。