日本の適正人口は8,800万人!
総務省が8月6日発表した今年1月1日時点の人口動態調査によると日本の人口は前年より約90万8,000人減少し約1億2,065万人となったということです。2009年に約1億2,708万人だった人口は、この年をピークに16年連続での減少となっています。 今後については、2048年に1億人を割り込み9,913万人、2060年に8,674万人、2070年に8,700万人と予測されています。この予測を悲観的にとらえる向きが多いですが、それは違います。現在の日本の人口が過剰であり、適正化に向かっていると捉えるべきです。
日本の所得は1990年初めのバブル崩壊以降約30年伸びておらず、物価も低迷してきましたが、ここ2,3年物価が堰を切ったように上昇し始め、それに伴い所得も上昇を始めました。1990年(10月1日)の人口は約1億2,361万人ですが、人手不足の状況でした。その後バブル崩壊で不況となり企業はリストラを行い、正規社員を非正規社員に置き換えていきました。その結果労働力過剰となり、所得(賃金)が横這い、あるいは低下してしまいました。この頃企業は売上を維持するために商品価格を下げる政策を取ったことから、物価が低下し所得を上げる必要がない状態が生まれました。もしここで人口が2,000万人少ない1億人だったら、労働力は適正であり所得は毎年2~3%上昇を続けたと思われます。バブル崩壊以降世界の殆どの国でGDPや所得は2%以上の上昇を続けています。日本の場合、20%以上の人口過剰が原因で賃金デフレになってしまったのです。
日本は歴史上常に人口過剰の状態であり、その結果貧しい生活を強いられました。人口過剰を解消するために1908年にブラジル移民が始まり、1924年には国策として海外移民移送事業を開始し、1933,1934年には海外移民者が年間2万人を超えています。その後日本経済の発展に伴い1960年代に入り海外移民は減少しましたが、日本政府が海外移民移送事業を正式に廃止したのは1993年です。要するにバブル崩壊頃まで日本政府としては人口過剰という認識であり、政策的に人減らしを行っていたことになります。今考えると1993年に海外移民移送事業を廃止したのは間違いであり、逆に強化すべきだったことになります。最近はオーストラリアやイギリスなどの高賃金に引かれて出稼ぎに行く日本人が多いようですし、所得が日本より高くなった韓国で働く日本人も増えています。これも日本の人口が過剰であるために起きる現象です。
従って日本の人口減少は良いことであり、今の減少幅は少ないと言えます。年間200万人減れば10年で2,000万人減ることとなり、過剰人口の調整が早く終了します。生活水準が高い欧州の国々の人口を見ると、イギリス約6,920万人(24万㎢)、フランス約6,490万人(55万㎢)、ドイツ約8,360万人(約36万㎢)ですが、この中で日本の面積(約38万㎢)にほぼ等しいドイツの並み人口約8,800万人が適正ということになります。現在から約3,400万人減のレベルです。こうなると人手不足を心配しますが、例えば現在の米農家1軒当たりの平均作付面積は約2haですが、機械化を考えれば最低10ha必要と言われており、この結果米農家は今の5分の1で良いことになりますし、テレビが朝からワイドショーをやっているのは専業主婦がたくさんいるからであり、彼女らも潜在労働力です。また約2,000万人いる非正規社員の正社員化が進みます。この人口になると国民1人当たり所得(約450百万円)はドイツ並み(約900万円)に上がることになります。今の60歳以上がいなくなった頃、日本は適正人口を迎えると考えられます。