財源を考えず官僚給与引上げ勧告する人事院は解体せよ

人事院は8月7日、2025年度の国家公務員の給与について、行政職で月給を3.62%(1万5,014円)引き上げるよう国会と内閣に勧告しました。引き上げ幅が3%を超えるのは1991年以来で、公務員のなり手不足に対応するため基準を変更し、民間企業で進む高い賃上げを公務員給与に波及させるとしています。勧告通りに引き上げられれば、行政職の平均月給は42万9,494円になり、定期昇給分を合わせた賃上げ幅は5.1%となるとのことです

勧告は、人事院が国家公務員と基準となる民間企業の4月時点の月給水準を調査して比較し実施しますが、今回から公務員の人材確保を進めるため、対象の民間企業の規模を従来の「従業員50人以上」から「100人以上」に変え、中央省庁の職員は対象を「500人以上」の企業から「1千人以上」に変更しています。初任給も大幅に引き上げ、中央省庁の総合職(大卒)は30万1,200円と、初めて30万円を超えるということです。中央省庁の幹部職員に対して、新たに月5万1,800円の業務調整手当を支給することも盛り込んでおり、大判振る舞いと言えます。

公務員のなり手不足を原因にしていますが、「大卒程度試験」の受験倍率は7.9倍であり、なり手不足とは言えません。たぶん人事院は東大生の申込者や合格者が少なくなっている点を捉えて「なり手不足」と言っているのだと思われますが、これは東大生が官僚以外にやりがいのある仕事を見つけたからであり、官僚の給与が安いからではありません。官僚のどこに魅力があるでしょうか?官僚は常に政治家の僕であり、政治家の理不尽な要求に応えなければなりません。その結果不道徳なことをして失脚した官僚が多数います。かつ退官後は業務上繋がりがあった民間企業に天下っていますが、これは事後収賄であり学生時代には非難していた行動です。こんな官僚になりたい東大生なんかいる訳がありません。なるとすれば東大で成績が真中以下の民間企業では出世できない学生です。だから給与を上げても優秀な東大生が官僚になることはありません。民間企業の少ない地方大学で官僚を目指す学生が増えることは期待できます。10年後官僚試験合格者数トップの大学は地方大学になると思われます(岡山大学、広島大学、立命館大学など)。

毎回人事院の勧告を見る度に腹が立つことがあります。それは勧告書で給与アップの財源については全く触れていないことです。民間企業では利益の範囲内でしか給与アップは出来ませんから、会社の前年の利益実績と今年の利益計画に照らし、給与アップを決めます。即ち給与アップを決める部署でも必ず財源を考えます。しかし人事院の場合財源を全く考えずに給与アップの勧告を出しています。こんなことあり得るのでしょうか?少なくとも人事院でも財源を見つける努力をすべきです。例えば官僚総数を2割減らし、この分の人件費減を財源にするとか、デジタル庁によるシステム化の結果として減る要員の人件費を財源にするとか、人事院としても財源探しは不可欠です。

石破首相は「日本の財政はギリシャよりよろしくない」と述べており、自民党の森山幹事長は「消費税減税などとんでもない」と述べています。こういう状況で財政を悪化させる官僚の給与大幅アップを勧告する人事院の常識を疑います。こんな非常識な人事院は解体し、民間人事コンサル会社の利用に切り替えるべきです。その結果浮いた経費を官僚の給与アップに充てるのは問題ありません。