官僚を減らさないと減税は実現しない

人事院は8月7日、2025年度の国家公務員の給与について、行政職で月給を3.62%(1万5,014円)引き上げるよう国会と内閣に勧告しました。勧告通りに引き上げられれば、行政職の平均月給は42万9,494円になり、定期昇給分を合わせた賃上げ幅は5.1%となるとのことです

人事院はこのような賃上げを実現するため比較する民間企業の規模を従来の「従業員50人以上」から「100人以上」に変え、中央省庁の職員は対象を「500人以上」の企業から「1千人以上」に変更しています。初任給も大幅に引き上げ、中央省庁の総合職(大卒)は30万1,200円と、初めて30万円を超えるということです。中央省庁の幹部職員に対して、新たに月5万1,800円の業務調整手当を支給することも盛り込んでいます。

民間企業で大幅な賃上げを実施しているのは好業績の企業だけですが、日本の財政はと言えば「ギリシャよりよろしくない」(石破首相)状態で、消費税減税なんか「とんでもない」(森山幹事長)状態ですから、常識的には今回のような大幅な賃上げはあり得ません。この賃上げの理由として人事院は公務員の「なり手が減っている」ことを上げていますが、公務員総合職試験の昨年の競争率は7.8倍であり、希望者はたくさんいます。人事院としては東大生の合格者が減っていることをもって「なり手が減っている」と捕らえているようですが、賃上げではこれに歯止めはかかりません。東大生の希望者が減っているのは、もっと東大生の能力を生かせる民間企業の職場が増えたからであり、官僚の仕事がこれを上回ることはありません。東大生の最近の就職先としては外資系コンサル会社、外資系投資銀行が増えており、ここで経験を積んでベンチャー企業を起こしIPOするというのが花形コースになっています。官僚の仕事がこれを上回る魅力があるでしょうか?官僚の仕事と言えば大臣の国会答弁の資料作り、問題が起きたとき国会議員に呼ばれ吊し上げ、国会で大臣を守るため虚偽の答弁をして辞職、上手く行けば事後収賄としての天下りというようなイメージしかありません。これで官僚になれと言う方が無理です。

よく日本の官僚は優秀という言葉聞かれますが、これは嘘です。日本の官僚が優秀だったことは歴史上1度もありません。日本の戦後の復興が官僚の優秀さを示すものとして引用されますが、あれはどこの国でも同じ現象であり、欧米先進国の物真似を主導したに過ぎません。そのため物真似が終わったら日本の産業の進歩は止まってしまいました。本当に官僚が優秀ならここから伸びています。韓国は官僚主導で日本の物真似をしましたが、日本に追いついたら国家ぐるみで研究開発に力を入れ世界一の製品や産業を作り出しています。その結果国民1人当たりGDPで日本を抜き去り、1人当たり所得でも2,3割多くなっています。この間日本の官僚がしたことは税収を遥かに上回る支出予算を組み、1,300兆円の返済不能な国債残高を残しただけです。こんな官僚の賃金を民間優良企業並みに引き上げるのは不条理です。官僚は支出した予算額を競っており、官僚が増えることは支出予算が膨らむことを意味します。これ以上国の借金を増やさないためには官僚を減らすことこそ必要となっています。官僚を2割減らさないと支出予算の増加は止まらず、国民待望の減税も実現しません。