米高騰で一番ダメージを受けるのは自民党

農水省の発表によると米の平均販売価格(9/8~9/14)が4,275円と過去2番目の高さ(最高は5/12~5/18の4,285円)になったという報道です。内訳を見ると銘柄米が4,353円、ブレンド米が3,993円となっています。ブレンド米は備蓄米と銘柄米を混ぜたものですが、ブレンド米の価格が最安値2,999円(7/28~8/3)から約1,000円上昇しており、これが平均価格を押し上げています。ブレンド米が上昇し始めたのは参議院選挙後であり、備蓄米の放出・販売価格の下落は自民党と米関係者が組んだ参議院選挙対策であったことが分かります。

これを報じるヤフーニュースのコメントを見ると消費者の悲痛な叫びは少なくなっています。JAや業者が高く買うのなら販売価格が高くなるのは当然だし、当面下がらないだろうという達観した意見が多くなっています。それと同時にパン食を増やした人や輸入米に切り替えた人も多くなっています。米だけでなく食品全般が30~50%値上がりしている中で所得はそんなに増えていないことから、多くの人がこれまで通り高価な国産米を購入することは不可能となっています。常識的に考えれば国産米の消費は半分に減ることになります。農水省の発表では米の平均販売価格だけが報じられていますが、販売数量に注目するとこの3週で約1,000トン、約850トン、約800トンと減少しています。

農水省発表データ ksppos.pdf

最も販売数量が多かった時期(7/28~8/3)の約1,200トンと比べると約400トン、約3割減少しています。これは明らかに米離れが始まった証拠と言えます。こんな証拠がありながら、農水省は来年の米の需要を今年並み(約697~711万トン)と見込んでいます。もしそうなら家計は米に昨年の倍近く支出する(できる)ことになります。所得の伸びを上回る物価高騰を考えるとこれは不可能です。米の消費は半分程度(350~450万トン)に落ちると想定するのが素直です。その中で輸入米の消費が伸びていますから、国産米はこの分需要がなくなります。国産米の需要はこれまでの年間約700万トンから350万トン以下になると想定した方がよいように思われます。これなら国産米は高所得者向けの高給食材として今の価格を維持できるし、一般消費者は輸入米という棲み分けが出来てきます。この場合輸入米に掛かっている高関税を引き下げるか、撤廃することが必要となります。

こういう棲み分けが可能となるのは、消費者の米からパン、国産米から輸入米などへの移行が完了するからです。もう既に米販売価格への関心も上昇のダメージも薄れています。しかしこういう状態にした政府自民党への怒りは薄れていません。7月の参議院選挙で自民党は歴史的敗北を喫し、この原因として石破政権がリベラル過ぎて支持基盤である保守層が参政党に移ったためと言われていますが、実際は自民党支持層の物価、とりわけ米価格高騰への怒りです。自民党支持層には高齢の年金生活者が多く物価高騰の影響を一番受けます。その中で米価格高騰が一番堪えます。この状況は今も続いており、自民党離れが続いています。米価格高騰で一番ダメージを受けるのは消費者ではなく自民党です。