「米の関税を撤廃する党」で衆議院選挙を

米の価格が高止まりする中新しい現象が見えてきました。9月26日にヤフーニュースに掲載されたFNNプライムラインによると、JA福井では新米販売量が昨年同時期と比較して約半分にとどまっていることが明らかになりました。9月22日時点での新米販売量は約2,200トン(玄米ベース)で、コメ不足が話題となり需要が急増した去年の同時期と比較すると約半分の水準に留まっています。コメ騒動が起きる前の2023年と比較すると約90%の販売量ということであり、10%程度落ちたと見るのが正しいかも知れません。それでも5kg4,000円を超える米価では販売量が減るのは当然であり、やっとこの実体が見えてきたという点で注目されるニュースです。この原因として卸売業者が2024年産のコメの在庫を抱えていて、新米の仕入れを様子見したり一部で買い控えたりする傾向がみられるとしていることは、米関係者がやっと冷静な見方が出来るようになったことが伺えます。米高騰問題はピークを打ったように思われます。それでもJAや卸、買取業者の倉庫に在庫余地があることから、当面高価での買取が続くことが予想され、米価は当面下がらないと考えられます。一方消費者の米離れは確実に進展しており、これから小売店で米が売れない現象が表面化します。米農家にとって顧客(お金を払ってくれる人)はJAや卸、買取業者であり、消費者ではありません。そのため消費者と米農家の分断が大きくなっています。ヤフーニュースを見ても消費者は「これくらいの価格でないとやっていけない」という米農家を批判し、米農家は「買えない消費者は買わなくてよい」と反発する声が多数見られます。

この問題の行く着く先は米の棲み分けしかありません。今回の米価高騰で米を食べない(食べられない)人が増えたと同時に、安い輸入米の需要が拡大しています。米の需要は米を食べない人の増加で30%減少し、輸入米に20%がシフトします。その結果国産米の需要は従来の約700万トンから半分の350万トンくらいに減少します。うち国産米は150万トンあれば十分で、残り200万トンは輸入米に置き換わります。これまで米を輸入に頼れば輸入が途絶えたときに餓死する国民が増える、国産米は食糧安全保障の柱と言われましたが、これは今回の米高騰で逆であることが分かりました。過度の国産米依存は価格高騰により米を食べられない状態を作ります。こういう状態にしないためには、主食と言うものを作らない、主食を米、パン、その他に分散する、米は国産米と輸入米で棲み分けることが必要です。この中で米の棲み分けでは、生産コストの高い国産米は日本の富裕層向け、値段の安い輸入米は一般消費者向けと位置付ける必要があります。牛肉や豚肉と同じです。この場合、輸入米は他の輸入食品(牛肉、豚肉、大豆、小麦など)と同様関税を撤廃するか低率にする必要があります。これに対して国内の米農家が国産米が輸入米に駆逐されると反対するのは通りません。日本のあらゆる産業が通ってきた道です。それでも米農家票が欲しい自民党や立憲民主党は米の関税には手を付けないでしょうから、消費者としては「米の関税を撤廃する党」を作って次の衆議院選挙に打って出る必要があります。比例で数十議席とり、国会でキャスチングボートを握れば米関税を撤廃できます。