熊本県立大半導体学部は工業高校から選抜する

9月22日熊本県立大学が半導体学部の創設を発表しました。これは2024年に半導体研究では日本の第一人者と言われる黒田忠広氏を県立大学理事長に迎えたときから期待されていたことです。熊本は世界一の半導体ファンドリ―企業TSMCが進出したことから、半導体関連企業の進出が相次ぎ、半導体要員の不足が顕著になっています。このため熊本大学工学部に半導体プロセス工学科が設けられ、すでに2回学生を受け入れています。それでも定員は40名であり、需要を満たせないのは明らかです。県立大学の半導体学部はこれを見越したものですが、問題は質の高い学生をどうやって集めるかです。

熊本大学半導体プロセス工学科の定員が少ないのは、優秀な学生を集められそうにないことも原因の1つです。日本の大学は偏差値で学生が振り分けられており、熊本大学は日本の国立大学の中で真ん中付近に位置付けられています。そのため集まる学生は偏差値50前後になります。このレベルだと半導体の設計開発では役に立たないため、生産現場の要員の養成を目指すことになります。高校普通科からの進学では半導体に興味がない(偏差値だけでやってきた)学生も多いことから、大学の4年間で半導体企業で求められるレベルまで持っていくことは不可能です。そのため熊本大学半導体プロセス工学科では定員の半分20名は高専からの3年次編入生としています。高専生は5年間基礎的技術教育を受けており、大学入学後即専門教育を実施できます。更に大学院を設け4年以上かけて半導体技術者を養成する計画です。

熊本県立大学の序列は当然熊本大学より下であり、集まる学生は偏差値で言えば40台になります。更に高専生で半導体に興味がある学生は熊本大学半導体プロセス工学科を選ぶと考えられます。ではどうしたらよいかというと、熊本を中心とした工業高校の学生を入学させればよいことになります。熊本工業高校なら上位の普通高校に合格できる学生が集まっており、学力面でも普通高校からの進学者より優秀であり、かつ基礎的技術教育が済んでいます。だから熊本工業や八代工業、玉名工業などの県内の工業高校や県外の工業高校から推薦で選抜することが考えられます。

更には熊本工業や八代工業、玉名工業などを5年生の県立高専にして半導体学科を設け、高専大一貫教育とすることが考えられます。こうすれば相当レベルの高い半導体学部にすることができます。