物価上昇が続けば過激政党が勃興する
物価の高騰が止まりません。JR九州は建設費の上昇で博多駅線路上にビルを建設する「博多駅空中都市プロジェクト」を中止しました。昨年10月には東京中野サンプラザの建て替え計画が同じ理由で中止になっています。中止ではありませんが、熊本県の肥後大津駅から熊本空港を結ぶ鉄道の建設費が当初計画の410億円から610億円に膨らむことが明かになりました。これを見れば物価高騰の影響が経済活動に悪影響を及ぼしてきたことが分かります。
経済活動の場合、物価高騰は企業の収入増加をもたらしますが、家計の場合は収入増大より支出増加が大きく、生活逼迫をもたらします。特に食品の値上がりは著しく、ここ3年間で1.5~2倍になっているように思われます。特に長い間物価の優等生だった米が1年で約2倍に値上がりし、米を主食にしてきた国民を狼狽させました。これもパン食や副食を増やすことによって乗り切っています。それでも今後水道代や電気代、ガス代、携帯電話料金などの準公的支出の値上げが予想されることから、追い込まれる家計が増えることは間違いありません。日本の平均世帯所得は約524万円(2023年度)であり、所得税(20%)や社会保険料(約28%)などの公的支出を差し引くと可処分所得は約272万円になります。月当たりに直すと約23万円です。ここから保険や家賃、住宅ローン、食費、子供の教育費などを差し引くと殆ど残りません。ギリギリの生活です。こんな中残された手段は食費を切り詰めることになりますが、これは家族の不満を増加させ、いさかいが絶えない家庭になります。これが外では苛めや暴行、喧嘩などの形で現れます。
今年7月の参議院選挙で参政党が躍進しましたが、これも社会不満の表れと言えます。参政党に投票した人は、これまで投票に行かなった人や習慣的に自民党や立憲民主党、共産党に投票してきた人たちです。この人たちが生活が追い込まれたことで投票行動を変えたのです。参政党躍進は社会を変えないと生きていけないという人々の危機感の表れと言えます。参政党については排外主義とか保守主義とか言われますが、社会にある危機感を拾い上げたに過ぎません。このまま物価が上がり続けて庶民の生活が追い込まれるとフランスの国民連合やイタリアのFDIのような改革政党が日本でも誕生し躍進します。これらの政党は極右政党と言われていますが、これは自らを世の中の中心と自負するマスコミが勝手につけたラベルであり、実体は国民の声を最も反映した民主主義政党と言えます。これらの政党が大きな変革を目指すのは支持者の声を反映したものであり、民主主義国家であれば当然です。日本も国民の多くの生活が成り立たなくなっており、大きな社会変革が必要な状況になっています。次の総選挙では自民党や立憲民主党が大きく議席を減らし、国民民主党や参政党が議席を伸ばすと言われていますが、もっと大きな変革を目指す政党が勃興してもおかしくありません。