テレビのスポンサー企業は提供番組で潰れる
テレビの信用が失墜しています。10月4日投開票の自民党総裁選では、テレビのワイドショーが連日特定政治評論家を出演させ、小泉進次郎議員で決まりと報じました。最も出演が多かった元時事通信政治記者田崎史郎氏は自民党議員に取材した結果として、議員票は小泉氏120票、高市氏50票と言っていました。小泉氏を林氏が猛追しており、高市氏は勢いがない、小泉VS高市となった場合、林氏の議員票が小泉氏にいくので小泉氏勝利は確実と述べていました。
新聞テレビは自分らが考える方向に世論誘導するところがあり、最近は選挙の当選予想も外れることから田崎氏の予想も余り信じられないのですが、投票権を持つ自民党の国会議員は295名であり、総当たり取材が可能なことからある程度当たると考えられました。そのため多くのテレビ視聴者は小泉首相誕生を疑わなかったと思われます。これが当日一次投票結果が田崎氏の予想と大きく違っていたことからぐらつき始め、決選投票でひっくり返ってしまいました。一次投票の党員党友投票で高市氏が119票と全体の約4割を占たこと、小泉候補の国会議員票が82票と予想を大きく下回ってことで、国会議員の中に当初の予定(決選投票では小泉氏に入れる)を変更した人が相当出ました。そうでなくとも党員党友票の結果で決まる地方票(47票)のリードで高市氏が当選する可能性が高くなっていたと思われます。それに輪をかけたのが決選投票に当たっての両候補者の演説で、小泉候補が支援者への感謝に終始したのに対し、高市氏は当選したら実施する政策で固め、どちらが総理総裁にふさわしいか浮き彫りにしました。高市氏の演説を聞いて高市氏の当選を確信した(切望した)テレビ(ネット)視聴者も多いと思われます。
この結果テレビで「小泉当選間違いなし」と託宣していた田崎氏は大恥をかくこととなりました。本人はテレビで謝罪していましたが、ネットでは自身と付き合いが深い小泉氏への露骨な肩入れと非難が渦巻いていました。本来選挙においては公平な報道を心がけるべきテレビがこれだけ小泉当選に繋がる報道を続けたのは、総務大臣時代に「偏向報道には停波もある」と発言し、テレビ局に圧力をかけた高市氏の総理総裁就任を何としても阻止したいと言うテレビ局の意向(雰囲気)を受けてのものでした。そしてこれを続けられたのは、番組スポンサーも同じ意向を持っていたからです。テレビ局にとって顧客はスポンサーであり、視聴者ではありません。視聴者からのクレームは広報や制作部署止まりですが、スポンサーからのクレームは経営陣まで上がります。従ってスポンサーからクレームがあれば内容が変更されていたはずです。変更は見られなかったということは、スポンサーも番組内容に同意していた(小泉氏の当選を望んでいた)ことになります。
このように放送内容はスポンサーが同意していると考えてよく、報道内容に抗議したい人はテレビ局ではなくスポンサーに抗議しないと意味がありません。抗議方法としては、広報に抗議の電話をする、抗議のメールを入れる、スポンサー製品を買わない、不買運動を呼び掛けるなどが考えられます。TBS報道特集は偏向報道で有名ですが、著名スポンサーであるニトリにはネットで不買運動が呼びかけられ、このせいかニトリはその後売上を落としています。
スポンサーが番組を提供していると言うことは、番組内容に同意している、自社の主張・姿勢と一致しているということです。これ迄は単にコマーシャルを流しているだけであり、番組内容には関知しないと考えるスポンサーが多かったと思われますが、これは通じなくなっています。今後は提供番組のせいで売上高が大きく減った、場合によっては潰れる原因になったというケースが出てくると思われます。
追伸;10月24日、テレビ朝日は10月19日放送のBS朝日「激論!クロスファイア」において司会の田原総一朗氏が自民党の高市早苗総裁に向け「あんな奴は死んでしまえと言えばいい」と発言した件で、臨時取締役会で同番組の放送中止を決めたと発表しました。その理由として田原氏の発言は政治討論番組としてのモラルを逸脱しており、VTRでありながら当該箇所を編集して放送しなかったのは制作側に責任があるとしています。本件がネット上で問題になった以降テレビ朝日は田原氏を厳重注意にしたと発表し、放送は続ける意向でした。これが急転直下放送中止になったのは、スポンサー(SGC)が下りたことが決定的原因のように思われます。私が当該番組のスポンサーをネットで検索したところ既に多くの検索がなされており、スポンサーに悪影響が及んでいることが伺えました。番組の内容はスポンサーの評判や業績に大きな影響を及ぼすこと、スポンサーは提供番組の内容にも責任を負う必要があることを示しています。