高市党人事は解散総選挙と次回総裁選への布陣
高市首相の閣僚人事が決まりました。「実力派を登用したな」という感じです。女性初の首相と言うことで女性議員が多数登用されるとの憶測もありましたが、片山さつき議員と小野田紀美議員の2名だけでした。大臣には担当する官庁の業務に精通する人を置いているので、女性議員の中にそのような議員がいなかったためだと思われます。「上川陽子法相があるのではないか」と予想しましたが、上川氏は小泉進次郎陣営に入っており、決選投票でも小泉氏に投票したと思われることから踏み切れなかったようです。上川氏は昨年総裁選に立候補し、女性初の総裁を目指した人ですから、今年は高市氏を応援して欲しかったのですが、高市氏が嫌いなのだと思われます。あとは確かに大臣に相応しい女性議員は見当たりません。岸田首相のようにお世話になった加藤紘一氏の娘(鮎子氏)や長銀の後輩(富士急行社長)の妻(堀内詔子氏)、その他引退前の長老議員を大臣にするなど人事権濫用と思われる人事をしなかった点は好感が持てます(進次郎は仕方ない)。
総裁就任後に行われた党役員人事についてマスコミでは麻生派人事と言われましたが、そうではありません。解散選挙および2年後の総裁選をにらんだ人事となっています。それは選挙を取り仕切る幹事長代行、選挙対策委員長、国民運動本部長を高市陣営で固めているからです。幹事長は麻生氏の義弟の鈴木俊一議員ですが、72歳と高齢で人格者であることから、幹事長実務の多くは荻生田光一幹事長代行が行うことになります。その結果荻生田氏は候補の公認決定や県連幹部との交渉、候補者の面談、党員党友との接触など選挙に関する広範な活動を行います。その前段階の候補者絞り込みなどを行うのが選挙対策委員長ですが、これには高市氏の後見人とも言える古屋圭司議員を据えています。更に大企業などの組織を固める国民運動本部長にはこれまた高市氏の後見人である新藤義孝議員を据えています。この結果、総選挙に向けた候補の選抜から公認、支援体制を高市グループで独占していることが分かります。
高市氏は2021年の1回目の総裁選出馬以来応援してくれた議員の選挙には応援演説に入っていますが、多くが落選しています。それは彼らの多くが安倍派の裏金議員だったからですが、高市氏には「私にもっと力があれば当選させられたのに」という忸怩たる思いがあると思われます。次の選挙では首相として応援に入り彼らを当選させたいと強く持っているはずです。しかし首相となるとこれまでの無役の時のように地方を回れなくなります。それは2年後の総裁選で党員党友票が減ることを意味します。これをカバーするのが荻生田幹事長代行や古屋選挙対策本部長、新藤公民運動本部長です。高市首相は2年後の総裁選までに解散総選挙を行うと想定されますが、その場合これまでに高市氏が応援して落選した旧安倍派議員が高市首相の支援を得て多数復活すると予想されます。それに同時に荻生田、古屋、新藤の3人で地方組織を押さえ、総裁選で党員党友票の多くを獲得する体制を作ると考えられます。今回の党役員人事では強力な高市再選態勢が構築されています。