マタギ県がクマ駆除を自衛隊に要請するか?
10月28日秋田県の鈴木健太知事は防衛省を訪れ、小泉進次郎防衛相にクマ対策で自衛隊の派遣を要請しました。これを受けて小泉大臣は派遣する方向で検討しているということです。
秋田県では今年クマによる人身被害が10月28日時点で48件55人にのぼり、昨年1年間の11人を大きく上回っています。7月には北秋田市の障害者施設で70代の入居女性がクマに襲われて死亡していますし、10月24日には東成瀬村で4人がクマに襲われ、30代の男性1人が死亡、3人が大けがをしています。目撃情報を見ると今年1月から10月26日までで8,044件ですが、このうち10月に入ってからの件数が半分近くを占め激増しています。これは冬眠を控えたクマが餌を求めて人の生活圏に侵入しているためと考えられます。冬眠までまだ時間があるためクマの被害はまだ増えると考えられることから今回の要請に至ったようです。
私はこの報道を見てびっくりしました。それはクマ対策で自衛隊の派遣を要請したのが秋田県だったからです。秋田県と言えばマタギで有名であり、クマ退治のノウハウは全国で一番あると思われます。そのため自分が秋田県人ならクマの撃退をよそ者(自衛隊)にお願いすることはちょっと考えられません。確かに現役のマタギはいないかも知れませんが、マタギを祖先に持つ人たちは多いはずですし、その子孫には猟師をしている人たちも多いと思われます。先ずはこの人たちを結集する(高い報酬を出す)ことを考えるのが普通ではないでしょうか。それでも足りなければ警官や自衛官経験者など銃を扱ったことがある人を公務員(ガバメントハンター)として採用し、訓練の上クマ対策に当たらせることを考えます。これは宮城県の村井知事がやろうとしていることでもあります。
これらをせずにいきなり自衛隊派遣要請になったのは、秋田県の鈴木知事が神戸市出身(秋田は奥さんの郷里)であり、マタギの伝統をあまり知らなかった、マタギ県のプライドが無かったことと自身が大学卒業後6年間程自衛隊にいた経験があり、自衛隊との近さを県民にアピールしたかったことが原因のように思われます。
これは全国で議論を呼んでいるように短絡的な発想と言えます。自衛隊は戦争に対処する組織であり、クマ対策のための組織ではありません。鈴木知事が入隊したころの自衛隊はやることがなく暇な組織だったと思われますが、今は違います。いつロシアが北海道に侵攻するか分からず、尖閣諸島を巡っては今日にも偶発衝突が起きてもおかしくありません。だから自衛隊はこれらにいつでも対処できる状態にしておく必要があります。私は要請に対して防衛庁が前向きという報道に知ったとき、射撃訓練の一環として利用する(もちろんそんなことは言わない)意図かと思っていましたが、最近の報道では箱罠の運搬設置が主な任務とされています。これは建設や土木業者に依頼すれば済むことであり、自衛隊に依頼するのは経費の節約以外の効果はありません。多くの方が言っていますが、自衛隊をこのような便利屋として使うのはそろそろやめるべきです。そんなのんきな国際情勢にはありません。私は災害派遣も止めるべき(各県消防などが協力して当たる)だと思います。
今回秋田県が自助努力を何もせず自衛隊に要請したのを見て、日本の都道府県で真っ先に消えるのは秋田県だと思いました。