偽医者と本物の医者の区別がつかないのが問題

10月30日の報道(ヤフーニュース)によると、大阪市北区のクリニックで医師でないにも関わらず医療行為をした疑いで66歳の会社役員の男が逮捕されました。この男は医師でないにも関わらず北新地にあるクリニックで去年9月上旬から今年4月下旬の49日間で169人の患者の問診をし、薬の処方なども行っていた疑いが持たれています。 クリニックは通常医師免許証を確認して採用していたようですが、この男の場合、医師免許証は引っ越しの時に紛失し、再発行を依頼しているという説明を信じて採用したということです。

この事件は現在の医療界の問題を浮き彫りにしています。それは偽医者と本物の医者の区別がつかないということです(医者でも判別できない)。患者から見ても本物の医者への信頼が低下しています。体調が悪い場合大概近くのクリニック(開業医)に行きますが、多くの場合一言二言の問診があり、「では薬を出します。これで様子を見ましょう」で終わります。病名も言いませんし、診断根拠(エビデンス)も明示しません。まるで占い師のようです。でもこれで多くの場合問題となりません。それは病気の多くが自然治癒するからだと思われます。薬が効くのは3割以下と言われています。これなら医師免許がなくてもできます。たぶん経験豊富な看護師の多くが「私でもできる」と思っていると思われます。薬剤師も思っているかも知れません。

私は以前創薬ベンチャーやバイオベンチャーへの投資をやっていて、投資の種を求めて東大や京大など有名大学医学部や日本医学会総会の研究発表会に出席しましたが、そこではエビデンスが重視されており、医学部が科学界最高の地位にある理由が分かりました。一方退職後クリニックに掛かるようになって驚いたことは、エビデンスなしに診断し、薬が処方されることです。医学会のエビデンス主義がどこかに行っています。勘と経験と度胸(KKD)による診断と処方になっています。クリニックの場合診断処方結果が上司にチェックされることはありませんせんから、間違った診断処方が繰り返し行われることになります。これでもやっていけるのは、薬が厳しい審査により承認され、少なくとも重篤な副作用は起きないようになっているからです。

医者が如何にいい加減かということを私の事例でご紹介します。

私は若い時から高血圧で10年くらい前から降圧剤を服用しています。これまで担当医に不満で現在3人目の担当医なのですがこういうことがありました。

降圧剤にはいくつかの種類がありますが、最初に処方されるのはカルシウム拮抗剤(例えばアムロジピン)が多いです。これは血管にあるカルシウムチャネル(通路)にカルシウムが結合すると血管が縮み血圧が上昇することから、カルシウムに似せた化合物(薬)でカルシウムチャネルを塞ぎ、カルシウムが結合できないようにするものです。これはそれなりに効き(血圧が下がる)副作用が少ないことからよく使われています。しかしカルシムチャネルは動脈に多く存在し、静脈には少ないことから、動脈は広がるが静脈は広がらないという欠陥があります。そのため動脈から血液が静脈に流れ込む(血管をチェンジする)足で静脈に移行できない血液が発生し、血管から水分が漏れ出し、足が浮腫むという副作用があります。そして夜横になると足に溜まった水分が膀胱に流れ込むため、夜頻繁にトイレに起きることになります。これはカルシム拮抗剤の有名な副作用なのですが、この症状を訴えた私に対し担当医は「この薬にはそんな副作用はありません」と言い張りました。

次に不整脈があったため心臓を保護するためカルベジロールという薬の服用を薦められました。そこで飲み始めたところ3か月後(6月)に咳が出始めました。そこで担当医に「これはカルベジロールの副作用ではないか」と聞いたところ、「カルベジロールにはそんな副作用はありません。夏風邪ではないですか。飲み続けて下さい」と言われたため飲み続けたところ咳が酷くなりました。そこでネットで調べたところ呼吸器科医のHPに「カルベジロールは気管支を収縮される効果があり、喘息などの呼吸器疾患がある人には禁忌」と書いてありました。これはカルベジロールの有名な副作用とのことでした。これを見て直ぐに服用を止めましたが、このまま服用していたら死ぬところでした。

この7月頃血圧が上昇し、BNP値(心臓が悪いと高い)も上がっていたことから、担当医から心臓保護効果があるというビソプラロールの服用を薦められました。これはカルベジロールとは異なり気管支を収縮させる副作用はないということでした。そこで飲んでみたこころ血圧は90-150から80-130へと一気に下がり効果てき面でした。しかし心拍数が55回(1分間)から45回まで一挙に10回くらい下がりました。この薬は心拍数を下げる→血管内の血液量が減る→血圧が下がる→心臓の負荷が下がる、という作用機序で心臓を保護する薬だったのです。

心拍数が60を切ると徐脈という分類なので、そもそも私は徐脈(50~55)のところにこの薬により45まで下がったのですが、これは大きな副作用を伴うことが分かります。心拍数が減った分組織に送られる酸素量が減り、組織が酸欠を起こすのです。その結果体の活動が抑えられるようになり、一挙に不活発になくなります。これでは生きていくのが楽しくないと思い、1週間で中止しました。この症状を担当医に言ったところ「それはあなたの思い込みです」と言われました。ビソプラゾールにこれらの副作用があることはネットやyoutubeで確認しており、この言葉に怒りがこみ上げ「おまえふざけたことを言うじゃないぞ」と怒鳴ってしまいました。これ以上は書きません。

このように医師免許は持っていても素人同然の医者(副作用には興味がない)がたくさんいます。だから偽医者でもバレないのは当然です。AI診療が導入されると不良医者は排除されると言われていますが、医師会の抵抗が大きく導入は進みそうもありません。患者は自分の病気に関してはネットやyoutubeで調べて防衛する必要があります。日本の医者のレベルは極めて低いです。