造船よりホンダジェットで航空機を育成

自民党の経済安全保障推進本部が6月20日、「我が国造船業再生のための緊急提言」を石破茂首相に提出し、その中に「国主導で1兆円以上の投資を可能とする基金を創設」という部分がありました。経済安全保障については、担当大臣が小林鷹之議員→高市早苗議員→城内実議員と高市政権の中枢にいる議員が責任者を務めており、高市首相の考えも同じと思われることから、実現する可能性が高いと思われます。なぜ今造船かと言うと今後建造の伸びが予想されているとことと、米国の造船業が衰退し、米国が同盟国への発注を増やすと考えられているからです。建造実績(2024年度)では中国が約56%のシェアを持ち、韓国が約17%で2位、日本は約12%で3位にあります。これまで日本は労働コストが高くて中国や韓国に敵わないと言われてきましたが、韓国の労働コストは日本より高いですし、中国との差も無くなってきています。要するに日本がシェアで3位に甘んじている理由は設備投資と技術開発の遅れということになります。

日本ではかって大手だった三菱重工やIHI、日立造船、三井造船などが縮小に動き、これを今治造船や常石造船、名村造船などが譲り受け、規模を拡大しています。今治造船はJMU(日立造船とIHIの造船部門が統合)を子会社化し建造量世界4位になっています。提言では国の資金を投入し設備投資や研究開発を強化するほか国立造船所の設置を視野に入れていると言われています。国立造船所は太平洋戦争中に海軍の軍艦を作るために設けられたことがあり、今後原子力船潜水艦などを建造するとすればあり得ます。

この記事が載ったヤフーニュースのコメントを見ると、造船業は若者に不人気な職業であり、労働力を確保できるのかという指摘が目立ちました。それに世界3位の現状から厳しい競争が予想され、明るい将来は展望できないように思われます。

私は造船に替えて旅客機の開発製造を支援すべきだと思います。三菱重工が中型旅客機(MRJ)を開発に挑み、型式証明取得のため飛行試験まで行いましたが、中止となりました。中止した原因は定かでありませんが、型式証明が取れないか、売れる見込みがないと判断したかのいずれかだと思われます。三菱重工の旅客機製造はボーイングやエアバス、更にはエンブラエルの後追いの印象であり、将来性が感じられませんでしたが、旅客機市場は拡大する魅力的な市場です。そこでビジネスジェットで成功しているホンダジェットを事業主体にして旅客機の製造開発を国家プロジェクトにすることが考えられます。従来のほとんどのビジネスジェットはエンジンを胴体後部に搭載してきましたがホンダジェットは主翼上面に置くというユニーク設計です。この方が速度アップと低燃費を実現できるとのことです。このような斬新な開発力を持つホンダジェットに旅客機の開発製造を担わせればユニークが旅客機の登場が期待できます。

ホンダジェットは現在ホンダの子会社ですが、これを持株会社の下ホンダ51%、トヨタ49%の子会社とし、ホンダとトヨタが開発資金を供給するとともに国も1兆円の基金を作り、開発を支援します。ホンダジェットにはビジネスジェット開発のノウハウがあることから、三菱重工のような失敗はないと思われます。少なくとも造船に1兆円突っ込むより遥かに期待できます。(ラピダスのように砂漠に水を注ぎこむようなプロジェクトトではない)