高市首相の台湾有事論なら徴兵制導入確実

11月7日の衆院予算委員会で、中国による台湾有事への対応を問われた首相は、

「やはり、戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば『存立危機事態』になりうるケースであると、私は考えます」

と答えました。これの意味するところは、中国海軍が台湾を攻撃すれば日本の「存立危機状態」に該当し、集団的自衛権の行使として米軍と共に台湾支援を行うということです。

高市首相のこの見解は身の程知らずと言えます。自分が安全地帯にいる、戦場に行かないから言えることです。旧日本軍の参謀と同じです。

そもそも米国も日本も1つの中国の原則を承認し、台湾は中国の一部と認めています。だから台湾統一問題は中国の内政問題です。ただし統一は軍事力でではなく平和的に行われることが望ましいのは間違いありません。日本にできるのはそれを訴えることであり、日本の領土が攻撃されていないのに、中国海軍が台湾を攻撃したから「日本存立危機状態」と見なすのは出鱈目と言えます。

そもそも米国のトラップ大統領は中国をG2と呼んであり、米国と同格と見ています。ウクライナ戦争を見れば米国はロシアと交戦しない方針であり、更に核保有国とは交戦しないと見られています。従って台湾を巡って中国と交戦する訳がありません(米国にとって何のメリットもない)。米国が他国を守るとすれば英国、イスラエルぐらいです。アジアの日本や韓国を守るために中国と戦うことは100%ないと考えてよいと思われます。高市首相の台湾との個人的親密性に基づいた台湾肩入れは、米国抜きで中国と交戦する可能性を生みます。中国軍の強さを誇示する機会を探っている中国は大歓迎です。中国の軍事費は約34兆円(2023年度)と日本(約9兆円)の4倍であり、日本が米軍と戦うのと同じくらい勝ち目はありません。今後中国は高市首相の覚悟を試すため尖閣諸島領海に侵入を繰り返し、武力衝突寸前まで行くか、実際に衝突を演出すると思われます。

それに日本が台湾を支援して中国と交戦した場合、必ずロシアが北海道に侵攻します。それはロシアが中国との同盟関係を強固にするためです。北海道とロシア軍の基地がある国後島との距離は約24km、貝殻島との距離は約4kmであり、ロシアは簡単に上陸し、補給ラインを築けます。たぶん1カ月で北海道の半分は占領されます。台湾有事で日本と中国が交戦するとしても軍艦同士の砲撃に留まるでしょうが、ロシア軍は確実に北海道に上陸します。なぜなら自衛隊は南西諸島方面に部隊を集中し、北海道の防御はがら空きになるからです。それにロシア軍はウクライナ戦争経験兵で構成されますが、日本は戦争経験がない自衛隊です。普通に考えたら勝ち目はありません。在日米軍は後方支援に徹し、ロシア軍と直接交戦することはありません。

要するに高市首相はこういう現実を考えず威勢のいいこと言っています。高市首相にはこういう性癖があります。以前ウクライナ戦争について橋下徹氏と議論したとき高市氏は、橋下氏の「日本がウクライナの状態になったとき高市首相なら若者を戦場に行かせるか」と問われ(挑発され)、「日本の国を守るため戦場に行ってもらいます」と答えました。そのときも「この人こんな重大なことを軽々しく言うな」と思いました。また昨年の総裁選では中国で日本人駐在員の子供が暴漢に殺され、中国で反日感情が高まっている中で首相になっても靖国参拝を続けると主張し、中国駐在日本人やその家族から顰蹙を買いました。

これらを見ると高市首相は日本人の個々の命より日本という国を上位に置いていることが分かります。多分こういう人を国家主義者というのだと思われます。この国家主義者高市首相の行きつく先は徴兵制です。自衛隊員は慢性的な不足であり、戦争を遂行することが出来ません。そうなると徴兵制を敷くしかありません。日本の存立危機状態を広く解し、中国との緊張が高まると自衛隊の増強が不可欠となり、徴兵制となります。高市首相は若者の支持が高いようですが、高市首相を支持す若者は徴兵制を支持することになります。これが広く知られるようになる来年(多分中国が武力衝突を仕掛ける)には高市首相の支持率は急落することになります。自衛力さえ十分でない日本に身の程知らずの威勢の良い子供じみた指導者は危険です。