NHKは受信料1030億円を子会社に隠す

NHKの子会社12社の利益剰余金(内部留保)が、2023年度末時点で計1,030億円だったことが会計検査院の調べで分かりました。会計検査院は2017年末には948億円(15年度末時点)の剰余金があるとして適切な規模を検証するようNHKに求めていましたが、NHKは何もせず更にため込んでいたことになります。子会社別の利益剰余金額は、4K・8K放送の普及などを担う「NHKテクノロジーズ」が258億円、番組制作やイベントの企画などを行う「NHKエンタープライズ」が188億円、「NHK出版」が156億円などとなるとのことです。これについて会計検査院は、7社が計56億円を臨時に配当できる状態であり、「適切な配当を要請することが重要」と言っていますが、とんでもありません。NHK子会社の収入はNHKからの発注か、NHKが受信料で制作したコンテンツからの収入であり、受信料が原資となっています。従って全額NHKが吸収し、その分受信料を引き下げる必要があります。

NHKの決算書を見ると、NHKが日本屈指の富裕企業であることが分かります。

NHKの2025年3月期の決算は

事業収入      6,125億円  -406億円(前期との差額)

事業支出      6,574億円   -93億円

事業収支差金   -449億円   -312億円

と、449億円も赤字となっていますが、子会社の黒字を見ればこれは国民を欺くトリックであることが分かります。この赤字はこれまでNHKが徴収した受信料の余りを積み立てた還元目的積立金(利益積立金を言い換えたもの)1,942億円を取り崩して補填されますから、取り過ぎた分を赤字で消しているのです(数字のトリック)。あと4年はこのような赤字決算をすることになります。本来なら受信料を1年間今の3分の2(約1,400円)にして還元目的積立金1,942億円を一挙解消(この1年間の決算が1,942億円の赤字)した方がすっきりします。それに449億円の赤字でも、年間のキャッシュフローは190億円のプラス(-449億円+減価償却費639億円=190億円)の余剰です。これはこの1年間で現金が190億円増えたことを意味します。これも449億円の赤字決算が国民を騙すためにトリックであることを示しています。

NHKの富裕さはバランスシートに現れています。現金預金と短期保有有価証券残高が4,416億円、長期保有有価証券残高が1,152億円、合計5,568億円の現金有価証券残高があります。NHKの企業規模だと現預金は約1,000億円(月収入の2カ月分。経費の支払いのため)も有ればよいので、約4,500億円は過剰であり、受信料値下げ原資となります。

これらからNHKの受信料値下げ原資は

還元目的積立金     1,942億円

現金有価証券の過剰分  4,500億円

子会社剰余金      1,030億円

合計          7,472億円

となります。その他渋谷のNHKセンターの他各県庁所在地の一等地に放送局をもっており、その土地の含み益を考えると、NHKには約1兆円の余剰資産(資金)があります。これは受信料が形を変えたものであり、受信料値下げで国民に返還する必要があります。

NHKの決算は衆参総務委員会で審議され毎年国会で承認されていますが、委員の国会議員がNHKに取り込まれ、NHKの利益擁護者になっています。だからNHK廃止や分割、スクランブル化の議論が進みません。自民党や立憲民主党、国民民主党はNHKとの関係が深くNHK改革を期待するのは無理ですが、維新はNHKの公民分割を公約に掲げており、自民党と連立を組んだことから実現できる環境にあります。維新にはNHK公民分割を期待します。