TBS報道特集が気持ち悪いのは100:0の番組作りだから

11月11日TBS「報道特集」の公式Xは「今週の報道特集は予定を変更して、『NHKから国民を守る党』党首の立花孝志容疑者逮捕と、1年前の兵庫県知事選『2馬力選挙』から始まった悪質なデマと誹謗中傷の拡散についてお伝えします」と告知しました。11月9日に立花氏が兵庫県警に逮捕されたことと同時に、第25回「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」の公共奉仕部門賞の受賞が決まったからのようです。

今回の報道については、立花氏が逮捕されたことおよび賞を受賞したことで報道特集の報道が正しかったことを誇示する内容になることは想像できましたが、11月12日には報道特集が悪人扱いした斎藤知事に対する告発が不起訴処分となったことから、これに対する態度も注目されました。

15日の番組では自殺した竹内元県議(竹内氏)の妻に密着し、立花氏の竹内氏に対する発言(誹謗中傷と表現)により竹内氏や妻が如何に追い込まれたかを強調していました。そして最後に竹内氏自殺の責任の一端は「知事として竹内氏を守らなった、立花氏の発言を制止しなかった斎藤知事の不作為にある」と断罪していました。斎藤知事を悪者に仕立て知事辞職に追い込み、再選後も知事の権威を貶めておきながら、竹内氏自殺の責任を斎藤知事に押し付けています。ここまで来ると子供レベルです。

これまで報道特集は見ると気持ち悪くなるので長く見ることはありませんでしたが、今回は1時間見ました。そこで報道特集が気持ち悪くなる理由が分かりました。番組の構成が取材依頼者(番組が密着する人)が100%正しく、相手方(対立する人)が100%悪いという構成になっているのです。トラブルがある場合、一方が100%悪いことは少なく、双方に悪い点がった、行き違いがあったケースが大部分です。車の事故ではほとんどが過失相殺になりますし、民事訴訟で損害賠償を請求して認められても過失相殺で大幅に減額されます。

竹内氏も百条委員会で証拠もない(被害者が名乗り出ていない)のに先頭になって斎藤知事を「パワハラしたでしょ」「正直に認めなさいよ」と責め立てており、やっていることは立花氏と変わりませんでした(報道でも映像が流れた)。あれを見た兵庫県民の多くが「斎藤知事追い落としの黒幕は竹内」と思ったとしても不思議ではありません。斎藤知事に対するマスコミの誹謗中傷は竹内氏に対する立花氏の比ではなく、斎藤知事に信念がなければ自殺していてもおかしくありませんでした。そして斎藤知事の奥さんや子供も相当追い込まれていたはずです。竹内氏の奥さんなら分かるはずです。竹内氏の奥さんは斎藤知事への恨み言は何も言っていませんでしたが(斎藤知事は竹内氏に何もしていないし言及していないので当たり前だが)、報道特集が最後に竹内氏の自殺を斎藤知事のせいにしたことから、竹内氏の奥さんがそう思っているような印象になってしまいました。報道特集が竹内氏の奥さんに寄り添う風に見せて斎藤知事攻撃に利用しているのが良くわかるシーンでした。

このように多くの社会問題は、一方が100%悪いことはなく、双方の悪さや行き違い、誤解が絡み合っていることが多く、訴訟では双方の弁護士が一方的に依頼者を弁護、相手の悪さ(責任)を提示する(追及する)ことで、全貌が明らかになります。その全貌に基づき裁判官が妥当と思われる審判を下します。双方の弁護士が指摘しあうのは喧嘩、殴り合いであり、裁判官(レフリー)がいて初めて有効なやり方となります。報道特集は片方の弁護士の立場で番組を作り(100:0)、かつ裁判官のつもりでいます。即ち絶対に正しい構成になっており、ここが気持ち悪い所以です。

報道特集が多くの視聴者から評価される番組になるためには、複雑に絡み合った問題を解きほぐし、問題の構造を明らかにし、解決に資する番組作りをすることです。

今回の番組中にコマーシャルが入らなかった(?)のは、入れても良いスポンサーがいなかった(番組で配慮した)ように感じられました(普段は「お値段以上ニトリ」などのコマーシャルが流れる)。報道特集のスポンサーはニトリ、三菱自動車などがありますが、ニトリと三菱自動車はこの中間期決算で売上、利益とも落としています。報道特集の内容はスポンサーの主張(承認している)と見なされることから、多くの視聴者の反感を買う報道は今後スポンサーの業績に大きな悪影響を及ぼすことになります。報道特集が嫌いな人はニトリの製品を買わないことです。

補足;日下部キャスターはどうしようもないにしても山本恵里伽アナはコメントしない方が良いと思います。山本アナはおつむで勝負する人ではありません。白痴美で勝負する人です。山本アナのコメントが良く問題になることを考えると、問題になることがなかった前任の膳場アナが如何に賢かった(コメントスルー)かが分かります。