「物価は2%に向かって緩やかに上昇」日銀総裁は馬鹿?

日銀の植田和男総裁は11月13日の参院予算委員会で、現在の物価動向について「基調的な物価上昇率は2%に向けて緩やかに上昇している」と答弁し、食品に限らず、その他の財・サービスで賃金の上昇を価格に転嫁する動きが続いているとの認識を示したということです。

この答弁を聞くと植田総裁は耄碌じいさんとしか思えません。「2%に向け緩やかに上昇している」のなら、最近3年間で6%程度の上昇に留まることになります。こんなことあり得るでしょうか?身の回りの生活必需品はこの3年間で5割から10割上がっています。月の生活費が1人なら1万円、2人なら2万円、4人なら4万円上がっています。米の価格が倍になっているのをみれば分かるでしょう。

なのに「2%に向け緩やかに上昇している」などと言われると「お前どこに住んでいるんだ」と聞きたくなります。日銀星ではその程度の物価上昇率なのでしょうか。

国民は物価算定の欺瞞に気付いています。物価上昇率が高いと国民に不満が高まるため、できるだけ低く出るよう殆ど生活に必要のない物を物価算定商品に多数加えています。国民にとって物価が問題になるのは日常生活品の物価であり、これを中心とした物価を見ないと意味がありません。この視点で物価を算定すればこの3年間年間20~30%物価が上昇していることになります。

そもそも日銀が物価上昇率を金融政策の中心に据えていることがおかしいのです。物価の上昇は国民を苦しめるだけであり、国民にとって有益な目標はGDPや賃金の伸びであり、これを金融政策の中心に据えるべきなのです。GDPが2%伸びれば賃金も伸びていることになり、賃金が2%伸びていれば確実に生活はよくなっていることになります。これらは変わらず物価が2%上昇しても国民の生活が苦しくなるだけです。

日銀が物価上昇を目標に置くのは、親会社とも言える財務省(安倍首相が日銀は財務省の子会社と言った。財務省が日銀株式の55%を持つ)が物価を上げて国債残高約1,300兆円の価値を落とそうと考えているからです(物価水準が倍になれば1,300兆円の価値は650兆円相当になる)。これは岸田内閣のとき財務省がNISAの非課税枠拡大に抵抗しなかった(むしろ財務官僚が提案した)ことから分かります。株価を上げることによって周りの物価も引上げ、インフレにする魂胆です。そうすれば1,300兆円の国債問題は解消します。

日銀もこれに乗っかているわけですが、日銀の役割は国民の生活をインフレから守ることであり、物価の番人(上がり過ぎないようにコントロールする)である必要があります。今の植田総裁にはこの気力があるように思えませんので、辞任されることを望みます。植田総裁は宮沢洋一前自民党税制調査会長の推薦(共に同じころ大蔵省に在籍)により総裁に就任したと思われますので、宮沢氏が税制調査会長を退任(更迭)されたことから植田総裁も辞任するのが相当です。もう皺くちゃの顔は日銀総裁に相応しくありません。