ラピダスの事業計画は詐欺レベル
政府は11月21日ラピダスへの1,000億円の出資を発表しましたが、これは以前から決まっていたことで驚きは有りません。それよりも同時に民間の出資が発表されなかったことが驚きです。政府の出資がこのタイミングになったのは、民間と同時に発表したかったためです。そうでないと民間が評価していない事業を政府が突っ走ているという印象になってしまいます。しかし民間の出資が集まらず同時発表できなかったようです。
驚いたのは経済産業省が同日ラピダスへの政府支援を2026〜27年度に約1兆円追加するなど累2.9兆円に及ぶ支援を発表したことです。
・26年度には約6,300億円支援し1,500億円以上を出資する。
・27年度には約3,000億円支援する。
・27〜28年度には政府支援で建設した工場などの設備をラピダス株と交換する現物出資行う。
となっていますが、最後のものは1兆7,225億円の補助金で建てた工場や購入した設備を出資金に振り替えるもので、新たに資金を出すものではありません。従って新たな資金支援は1兆0,800億円(6,300億円+1,500億円+3,000億円)になります。これ以外にラピダスの銀行借入に政府保証を付けて政府支援を少なく見せることを企んでいます。これは最終的に政府が返済責任を負うものであり、資金支援と変わりません。これが3~5兆円を言われていますので、最大8兆円の資金拠出になります。これでは日本政府や経産省がベンチャーキャピタルをやっているのと同じです。それも事業経験のない官僚と国会議員が決めますから成功するはずがありません。
更におかしいのは、ラピダスが27年度に2nm半導体の量産を始めるのに続き1.4nmも量産し、30年度には黒字化、31年度に株式上場するという事業計画を提出していることです。現在TSMCが量産に漕ぎつけているのは3nm半導体であり、3nm半導体はサムスン電子やインテルも量産できていません。なのに半導体生産経験のないラピダスがどうして2027年に2nm量産し、更にTSMCも実用化できていない1.4nm半導体を量産できるのでしょうか。半導体製造業を舐めているとしか思えません。
この事業計画は政府から資金を引き出すための詐欺的計画と言えます。こんな計画を民間の投資会社に提出したら、担当ライン(担当者・課長・部長)止まりで会社の投資審査会にかかることもありません。掛けたら笑われてしまいます。出資を求める民間企業にもこの事業計画を提出しているとしたら、民間企業で決裁をとるのは不可能です。
このようにラピダスプロジェクトは酷い物であり、歴史的な無駄遣いです。これにこれだけ政府資金が拠出されると言うことは、大物の国会議員や官僚が背後にいることが伺えます。このプロジェクトを推進する国会議員、官僚は以下の通りです。日本人の血税がこれらの政治家と官僚によって食い物にされています。
・甘利明元衆議院議員(経産族のドン。ラピダスプロジェクトの創設者)
・山際大志朗衆議院議員(甘利氏の子分)
・岸田文雄元首相(経産族で甘利氏の盟友。日本成長戦略本部本部長を受けたのはラピダスに資金を流すため?)
・嶋田隆ラピダス顧問(元岸田首相主席秘書官。岸田氏が送り込んだ)
・野原 諭経産省商務情報政策局長(2021年に就任しラピダスプロジェクトを主導。局長就任後4年になるが逃げられない状態)
完全に個人の権勢プロジェクト化しており、失敗した暁には全員背任罪で逮捕されてもおかしくありません。