高市首相と岡田議員の質疑をやり直せばよい

高市首相の台湾有事発言で中国の怒りが収まりません。日本旅行中止勧告、海産物輸入停止、海警の尖閣海域進入増大とエスカレートしています。11月21日には在日本中国大使館がXで、国連憲章の「旧敵国条項」に触れ、日本に対しては「安全保障理事会の許可を要することなく、直接軍事行動をとる権利を有する」と主張しました。これは中国軍部の主張を反映したものと思われ、中国軍では武力行使論が台頭していることが伺えます。米軍並みの戦力を揃えた中国軍が実力を披露したくてたまらない中で日本が格好の獲物となっています。

日本では高市支持の保守と言われる人がネットで徹底的抗戦を訴えています。これを見ると「保守=昭和から思考停止状態の人」であることが分かります。中国との軍事的実力差が全く分かっていません。それに彼らの特長は戦うのは自衛隊であり、自分らは戦場に就く気がないことです。自衛隊員からしたらとんでもない奴らです。

このような事態をもたらした高市発言は、立憲民主党岡田議員との質疑の中で飛び出したもので、偶発事故と言えます。この発言が飛び出した状況について産経新聞の記事から引用すると、

=岡田氏は、7日の衆院予算委員会で、首相が令和6年の自民党総裁選に臨んだ際の発言を挙げ、「中国による台湾の海上封鎖が発生した場合を問われ、『存立危機事態になるかもしれない』と発言した」とし、「(岡田氏も)『絶対ない』というつもりはないが、どういう場合に存立危機事態になると考えたのか」と尋ねた。 首相は「個別具体的な状況に即して、すべての情報を総合して判断しなければならない」と答弁したが、岡田氏は「どういう場合に存立危機事態になるのか」「今の答弁では存立危機事態を限定的に考えることにならない」と繰り返し、尋ねていた。 その結果、首相は中国が軍艦などで台湾を海上封鎖し、来援する米軍に対する武力行使があった場合について「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と答弁した。=

となっています。これを読むと「来援する米軍に対する武力行使があった場合について」となっているので、中国の軍艦が米軍軍艦に砲撃した場合には日本も集団的自衛権を行使する(自衛隊が米軍を支援する)という意味のようです。政府内部で議論するなら問題ない内容ですが、国会で発言すれば中国を怒らせるのは明らかな内容となっています。

この高市発言についてネットでは、こんなセンシティブな内容を国会でしつこく質問した岡田議員が悪いという意見が見られますが、岡田議員にとっても想定外の発言だったと思われます。上記産経新聞の記事の中で岡田議員も「最後はヤバいと思った」と言っています。このため岡田議員は大串博志議員と相談して11月10日の衆議院予算委員会で大串議員が質問に立ち、高市首相に尖閣有事発言を「撤回する気はないか」と質問し撤回する機会を準備したが高市首相は「最悪のケースを想定し、答弁した」「政府の従来の見解に沿ったもの」と撤回しなかったと言うことです。

岡田議員の言っていることは言い訳ではなく本当だと思われます。高市首相の発言は質問者が真っ青になるような発言です。大串議員の質問はテレビで見ましたが、確かに「ここは撤回した方がいいのでは」という優しさが溢れていました。高市首相は検討したことがある政策については強いのですが、検討したことがない政策については突飛な発言をすることがあります。今回がこれで台湾有事についてこれまで十分検討していなかったものと思われます。

実は中国も分かっていて本気で怒っているようには思えません。この幼稚な日本人リーダーを懲らしめてやろう、震え上がらせてやろう、教育してやろうというという感じがします。もし本気で怒っていれば発言の撤回を迫るのではなく、在日中国大使召還など外交関係断絶をちらつかせます。

今後の収拾策ですが、高市首相もそこまで深く考えて言っていないことや岡田議員としても事態を収拾したいことを考えると、もう1回衆議院予算員会で岡田議員が同じ質問を行い、高市首相が問題になった発言以外は同じ答弁を行い、問題になった答弁だけ政府統一見解に置き換えればよいのではないでしょうか(撤回ではなく答弁の上書き)。この際予算委員会に出席する与野党議員は一切野次を飛ばさず静かに見守ることです。これが日本の国益にかない、高市内閣は得意な経済政策に専念でき、悔しい現実を思い知らされた防衛力の強化に邁進できます。