国会議員と官僚の収入増には財源問わずの出鱈目

自民党と日本維新の会は、国会議員の月額歳費を定める歳費法を今国会で改正し、一現在の月額129万4,000円を5万円増の134万4,000円に引き上げるということです。「身を切る改革」を掲げる日本維新の会への配慮から、引き上げ時期は次の国政選後とする方針となっていますが、意味が分かりません。身を切る改革を掲げるならば出てくるはずがない案です(別の報道では立憲民主党と自民党で決め、維新は実施を遅らせることを求めたとなっている)。

国会議員に支払われるのは下記のような金額です。

1.歳費(給与)  月額 129万4,000円

2.期末手当(ボーナス)  年2回(6月と12月)  …各約319万円

*給与賞与を合わせると国会議員の年収は約22,000,000万円となる。

3.調査研究広報滞在費(月額100万円 使途報告義務あり。残額返還)

4.その他の公費

・立法事務費 月額65万円  使途報告義務なし。

・JR無料パスと無料航空券  使途報告義務なし

・秘書の給与 2名分国から支給。

国会議員の収入はお手盛りが多いと言われてきましたが、かつての文書通信交通滞在費が調査研究広報滞在費に改められ、使途報告義務と残額返還となったことから、うま味は減ったようです。ただし立法事務費については全額懐に入れている議員が相当いると思われます。これも使途報告と残額返還とすべきものです。立法事務費を渡し切りにしているところは国会議員のネコババ体質の現れと言えます。

これに維新も賛成していることには維新創業者と言われる橋下徹氏が猛批判していますが、維新で橋下氏の影響力が薄れている証左でもあります。維新では藤田共同代表が公金で秘書の会社に発注するなど身内に公金を落とし込む体質が明かになっていますが、これは大阪では普通であり悪いことをしている意識は全くないと思われます。維新が自民党と連立を組んだ最大の目的は大阪副首都構想実現ですが、吉村代表は「副首都候補は大阪に限らない、福岡なども候補になり得る」と言いながら、国会議員団は副首都の要件を大阪、横浜などの大都市に絞られるように設定しようとしています。これは明らかに大阪への利益誘導であり、「世の中金、金、金」の大阪人らしいやり方です。維新は自民党を維新色(金まみれ)に染めて乗っ取る計画のように思われますが、維新の大阪以外の議員はこのような維新の空気に嫌気がさしており、離党のタイミングを探っている状態です。維新は来年にも大量の離党者が出て大阪ローカル政党になると予想されます。大阪はともかく「金、金、金」です。

そんな中から国会議員歳費引上げですが、これは国家公務員供与引き上げに連動して出てきたもののようです。11月11日政府は国家公務員の給与などを人事院勧告の通り引き上げることを決めましたが、本府省業務調整手当として幹部管理職員を新たに支給対象に加え月51,800円を支給 課長補佐級の手当額を月10,000円、係長級以下の手当額を月2,000円引上るなど大判振る舞いとなっています。これを見て国会議員が「俺たちも上げよう」となったようです。

これらの原資は年間数百億円になると思われますが、財源については全く言及されていません。国民の減税についてはいつも財源がないと拒否していながら、身内の収入アップになるものについては財源問題スルーです。

民間の優良企業では5%を超える給与アップを行うと同時に、希望退職の募集が定例行事になっています。これは給与アップの財源の一部を社員の削減で賄おうとするものです。物価上昇でコストがアップしていることから、売上増加だけでは人件費の増加を賄えないのです。公務員も給与アップの財源の一部は定員の削減で賄う必要があります。国会議員の歳費アップの財源は国会議員定数の削減の一部を充てると言うのならまだ納得感があります。こんなことをやっていたら参政党の躍進を招くだけです。