高市首相で若者は2年間の兵役義務化

高市首相の台湾有事論で中国の怒りが収まりません。日本旅行中止勧告、海産物輸入停止、海警の尖閣海域進入強化と来ました。次は日本製品の不買運動と中国海軍の尖閣海域出現が予想されます。

11月21日には在日本中国大使館がXで、国連憲章の「旧敵国条項」に触れ、日本に対しては「安全保障理事会の許可を要することなく、直接軍事行動をとる権利を有する」と主張しました。

国連憲章第53条第1項後段は安全保障理事会許可の例外規定で、「第二次世界大戦中に連合国の敵国だった国」が戦争により確定した事項を無効に、または排除した場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可がなくとも、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は制止できない」としています。この規定は1995年の国連決議で「時代遅れ」と確認され死文化していると考えられていますが、削除には至っていません。

在日中国大使館のこのXの投稿は日本に軍事的圧力をかけるものですが、これには軍事力で中国が日本を圧倒しているという現実があります。中国の軍事費は年間約34兆円(2023年)と日本の約9兆円の4倍近くですし、装備や製造能力でも圧倒しています。従って中国が軍事力を行使したら日本は一溜まりもありません。これに対してネットでは保守と言われる人たちがこの現実を理解せず「徹底的に抗戦すべき」「舐められたらいけない」と勇ましい主張を続けています。多くの日本人は中国と日本の軍事力の格差を理解しており、これ以上の対立は回避すべきとの認識です。日本はこれまで安全保障を全面的に米国に依存して来ましたが、米国がトランプ大統領になって他国の安全保障への関与を弱めており、日本も防衛力の強化に動いていた中で今回中国が軍事的圧力を強めたことは、日本の防衛力強化を加速するきっかけになります。

政府はこれまでGDPに対する防衛費の割合を2027年度に2%にする目標を立てていましたが、この実現を今年に前倒ししました。更に2022年12月に改訂したばかりの日本の安全保障政策の根幹を成す防衛三文書(「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」)を来年にも改定する計画です。改定されれば防衛費は欧州(韓国)並みのGDP比3.5%を目指すことになりますし、原子力潜水艦の開発にも着手すると考えられます。そうなれば英国やフランス並みの軍事力を有するようになりますが、中国に単独で対抗することは不可能です。そのため対中国では米国との同盟関係が不可欠になりますが、これまでは米軍10:自衛隊2だった戦力が10:5くらいになり、米国も同盟国と見なすようになります(今は保護国)。

お金を掛ければ装備は近代化され充実するのですが、これを運用する兵員数が絶対的に不足します。2023年3月末時点の自衛隊の定員が24万7,154人に対し、実際の隊員数は22万7,843人で、充足率は92.2%となっています。これを見るとそれほど不足感はありませんが、2023年度の採用率は51%となっており、若者の減少および民間の人手不足を考えると今後定員不足は益々大きくなります(定員の増加も必要になる)。それに自衛隊の階級名を諸外国の軍隊に準拠するよう改めるなど自衛隊の軍隊化が進んでいる(次は防衛軍への呼称変更)ことから、戦争が近くなったと感じて退職者が増えることが予想されます(本当に戦争が近づくと3~4割の退職者が出る)。そうなると自衛隊は維持できなくなります。それに備えて若者には2年間の兵役義務が課されることが確実です(兵役義務は韓国、シンガポール、スイスなど多くの独立国家で行われており、特殊な制度とは言えない)。若者はこのことを理解しておく必要があります。ネットで勇ましい発言をしているのは兵役義務のかからない中高齢者です。