BYDが日本の軽を世界中に販売する

トランプ米大統領が12月3日開いた新車の燃費規制に関する記者会見で、日本などで普及している小型の乗用車(軽と思われる)を「とても小さくて、本当にかわいらしい車だ」と誉めという記事が出たと思ったら、12月5日にはSNSに「アメリカ国内でのとても小さな車の生産を承認した。他の国で成功しているように自動車メーカーが長年、待ち望んでいた」さらに、低価格で燃費効率に優れるとして、「まさに驚異的だ。すぐに生産を開始せよ」と投稿しました。

12月3日の記者会見では新車の燃費規制を緩和すること発表しており、トランプ大統領は燃費規制よりも小型車が環境問題の解決策になると考えているように思われます。

そこで注目されるのが日本の軽自動車です。日本の軽について米国は長い間参入障壁として批判してきていますから、日本の軽の規格をそのまま認めるとは思われませんが、小型車という範疇で認められる可能性はあります。そうなるとスズキやダイハツが強いように思われますが、そうとも言えません。強敵は中国メーカーです。特にBYDは2026年にも日本で軽自動車を発売すると言われています。電気自動車のようですが価格が日本車より相当安くなると言われています。BYDは低価格電気自動車では販売台数世界一であり、コスト競争力が強く世界に販売網を築いています。日本ではアフターサービスで苦戦しそうですが、品質面で日本メーカーに大きく劣ることはないと思われます。むしろ軽や小型車のコストにおいて日本メーカーがBYDに太刀打ちできないことが危惧されます。日本で中国製のテレビの販売が増えているように、日本のユーザーはコスト重視になっており、BYDの軽は生活が苦しくなっている日本のユーザーに受け入れられる可能性が大いにあります。

それ以上に考えられるのが、BYDが日本で販売する軽自動車の開発製造で培ったノウハウを生かして軽自動車や小型車を低コストで大量に生産し、中国や東南アジアを中心に世界中で販売することです。現在中国では見栄から中大型車が好まれているようですが、景気悪化や中大型車は買えない中低所得者が多数いることから、価格の安い軽自動車や小型車が馬鹿売れする可能性があります。これは東南アジアや中南米、アフリカでも同じであり、これからの世界のトレンドになる可能性があります。米国メーカーや日本のトヨタなどはコスト高から中大型車の製造にシフトしており、今更小型車の製造に乗り出せません。そうなると日本のスズキやダイハツとBYDの勝負になりますが、コスト面や販売力でBYDが圧倒的に有利なように見えます。

トランプ大統領の小型車推奨発言で一番得をするのはスズキやダイハツではなく中国BYDです。