法曹中高一貫校なら司法試験は18歳までに合格可能

今年の司法試験予備試験コースの合格者428名の中で最年少の18歳は、慶応女子高校生であることが分かりました(次は大学1年生2名、大学2年生2名)。2021年の司法試験では同じく18歳の合格者(大槻凛さん。男性)が出ましたが慶応大学法学部1年生でした。そのときからいずれ高校生から司法試験合格者がでることは予想されていました。私は当時「18歳で司法試験に合格するなら大学付属高校に限る」というブログを書きましたが、やはり大学付属高校から出ました。慶応女子高は慶応中等部(中学)からの進学者が多く、中学入学時に慶大への進学が保証されるため受験勉強が必要なく、将来なりたい職業に向けた勉強に注力できます。大槻凛さんも中学1年のときに授業で裁判を傍聴したことから司法に興味を持ち勉強を始めています。今回合格した慶応女子高校生も同じような経緯か、親が司法関係者だった可能性が高いと思われます。

司法試験は長い間資格試験の最難関に位置付けられ、旧司法試験制度下では合格者の平均年齢が27~8歳で、10年近い勉強が必要なイメージでしたが、今では受験者の大部分が勉強期間5~6年で法科大学院在学中に合格できるようになっています。法科大学院は進学者の半数は法曹になれるという制度設計なので、現在の司法試験は競争試験というよりも法曹になるための基礎を身につけているかを見る試験になっているようです。旧司法試験制度においても法学部2,3年次合格する学生もいましたが、そのような学生は「論文の筋が良い」と言われていました。たぶん採点者からみて法律的組立方・思考が出来上がっていたのだと思われます。この法律的組立方・思考は早くから訓練した方が良く、法曹になることを決めたら中学から、遅くとも高校から教育を受けた方が良いです。現在東大や医学部合格者の大部分が私立中高一貫校出身者になっていますが、これは中学から東大や医学部入試に必要な知識や解法を学ぶからです。司法試験も同じで、合格に必要な知識や論文の書き方を中学から学べば、難解な法律用語が日常用語のようになり試験も難なく合格できます。私立中高一貫の法曹学校ができれば、高校1,2年次に司法試験に合格する生徒が現れ、高校3年次には半数くらい合格するようになります(灘高校や開成高校から半数くらいが東大や医学部合格すると同じような感じ)。

司法試験には予備試験コースと法科大学院コースがありますが、予備試験コース合格者の方が優秀とされ、大手弁護士事務所では予備試験コース合格者を優先して採用しているようです。中高一貫法曹学校の場合、一般教養は大丈夫か気になるところですが、司法試験合格後司法修習を受け、その後大学に進学する人も多いと思われます。その場合法学部や法科大学院ではなく、経済学部や工学部などの実学系学部がよいでしょう。法曹実務では証拠が重要になりますが、本当の証拠(エビデンス)を取得するためには理工系の知識(特に数学)や技術が不可欠ですので、理工系への進学が有益です。法律は観念的なことが多く、実務では実体を把握する技術が不可欠です。