平均寿命を落としても医療費を削減すべき

12月12日18兆3,000億円の補正予算案が衆議院を通過しました。2025年度の一般会計予算が115兆5,415億円ですので、15.8%の増加となります。高市首相のGDPを増加させて税収を増やして財政を改善する思想が良く出た補正予算案と言えます。

補正予算に関する予算員会の質疑を見ているとなかなかレベルの高い論戦がありました。私が見たのは院内会派「有志・改革の会」代表吉良 州司衆議院議員と高市首相の質疑でしたが、吉良議員は元商社マンの経験を生かした為替や金利に関する所見で高市首相に政策への反映を迫っていました。内容的には吉良議員の圧勝だったように思われます(びっしり準備しているから当然)。あれを見た有権者は「吉良はなかなか凄いな。高市内閣の大臣も務まるのでは?」思った人もいたと思われます。

今回の補正予算では物価高や人件費上昇で経営が苦しい病院や医療施設への支援が

5,341億円盛り込まれています。開業医ではなく病院支援を行っている点が特徴です。これは10月の自民党総裁選で開業医の団体である日本医師会が小泉氏を支援し、病院団体が高市氏を支援したためと思われます。高市内閣でデジタル庁担当大臣に就任した松本尚衆議院議員は日本医大教授からの転身であり、ドクターヘリの創設者として有名とのことです。ドクターヘリの運用に関するシステム開発にも携わったということで畑違いということはないようですが、大臣就任の最大の理由は総裁選で高市氏を支持したことのように思われます。高市首相は首相に就任した暁には要望を実現することを条件に総裁選支持者を増やしており、補正予算における病院支援は松本氏へのお返しのように思われます。そうはいっても開業医の所得は平均3,000万円を超えるのに対し、勤務医はその半分と言われており、政策的には当然と言えます。

日本人を苦しめている支出は医療費であり、これにメスを入れないと日本人の暮らしはよくなりません。医療費総額は48兆円であり、支払い原資は健康保険料約24兆円(健保約12兆円・国民約9兆円)、公費が約18兆円(国約12兆円と地方約6兆円)、患者負担約6兆円となっています。

診療種類別にみると、医科診療医療費は34兆5,498億円(構成割合71.8%)、そのうち入院医療費は17兆8,580億円(同37.1%)、入院外医療費は16兆6,918億円(同34.7%)となっています。入院医療は手術を伴うものが多く、やむを得ないと思われますが、入院外医療は大部分が開業医による医療であり大幅に削ることが可能です。というのは開業医にかかると検査もなく簡単な問診で薬を出しており、多くの患者が妥当性に疑問を持っています。当たるも八卦当たらぬも八卦の占い師の世界です。開業医にかかるケースの多くは受診の必要がなく、処方薬も効果がないことが多いのが実体です。多分1回の受診の自己負担を1万円に上げあたら受診は半減しますが、死亡者は殆ど増えません。

コロナ禍の時代には病院ががら空きでしたが、コロナ死者を除いたら平均寿命は大きく下落していません。これはそれまで過剰受診であることを示しています。開業医にかかれば分かりますが、彼らは収入を考えながら処方しています。コロナ禍のときなど患者が少なかったことから、1人の患者に薬を多数出していました。今でも通常1年に1回の検査を3カ月ごとにやるとか明らかに収入を増やすことが目的の行為も目立ちます。一度年収3,000万円を経験するとそれ以下はあり得ず、開業医は年収3,000万円になるよう検査や薬の処方を行います。その結果開業医の増加に伴って医療費が増加します。医師会が支持基盤である自民党は、それを止められません。

医療費を減らす方法としては次のことが考えられます。

1.薬代の保険請求には病気のエビデンスを添付させる

開業医は検査はもちろんろくな問診もせず薬を出しますから、無駄な薬を排除できます。

2.開業医の診断をAIにチェックさせる体制にする

AIはエビデンスがないと診断できませんから、今の開業医の診断をAIが診断すれば「エビデンスがなく診断不能です」となります。これで開業医のレベルが上がるし、無駄な薬の処方ができなくなります。

3.健康保険による治療は標準治療によるものとし高額な先端医療は除く

現役世代が出せる健康保険料に限界があることを考えれば当然です。この結果高額な先端医療に健康保険では使えないことになります。

4.慢性疾患の薬は調剤薬局で貰えることとする。

慢性疾患の場合、薬を貰うために毎月通院し、その度に医療費がかかります。薬は調剤薬局で貰えることにすれば医療費が削減できます。慢性疾患者が医者の金蔓になっています。

5.80歳を超えた人に延命治療はしない。

80歳を超える延命治療は本人にも家族にも良いことはありません。

これらで開業医の平均所得は1,500万円に下がり、医療費を10兆円削減できます。開業医は過剰であり、不足しているのは病院の勤務医です。