国家資格は過去問暗記の成果で信用力なし
会社を退職して時間ができたので国家試験(資格)に挑戦してみることにしました。先ず会社員時代に興味があったIT関係の試験に挑戦してみることにしました。そこで選んだのが基本情報技術者試験でした。この試験は大学情報系の学生が就職のために、IT系企業に入社した社員や一般の企業のIT部門に配属された若手社員が社員教育の一環として取得するよう推奨される資格です。この資格はIT技術者の登竜門と言われており、ITの一般教養というよりはIT技術者の基礎知識というべきものです。
このテストは午前試験と午後試験に分かれ、午前試験は80問の選択式(2時間30分。A4で約40ページ)で60%以上の得点で合格、午後試験は12問から5問選択の記述式(2時間30分。A4で80ページ以上)で60%以上の得点で合格で、両方の合格が必要となっていました。ページ数から分かるようにIT知識以前に国語力が必要となる試験です。
午前の選択式は過去の試験問題(過去問)から繰り返し出題されている問題が多く、半年の勉強で合格可能なことが分かりました。合格の鍵は午後試験で、13問のうち2問が必須で5問が選択ですが、1問の問題文が長く(4~8ページ)回答は基本記述式(解答を書き入れる。選択式もある)であり、問題も疑似プログラムの解読やアルゴリズムの計算など実際にプログラムを書いたことが無い人や大学でアルゴリズムを習っていない人にはハードルが高いものとなっています。こちらは過去に出た問題は先ず出ない出題になっており、過去問を解くだけでは合格できません。午後試験が私の前に立ちはだかりました。
この年はコロナ蔓延で試験は大会場における筆記試験から小会場に分散したCBT(computer based tasting)試験に変更されました。CBT試験はPC画面に問題が表示され、PC画面上で正解を選択、記述するのですが、午後試験は全部で80ページある、1問8ページあるものもあり、私のように紙試験しか受けことがない者には難敵でした。そのためこの年の試験をパスし、翌年の春に紙試験に戻ってから受験することにしました。しかし翌年の春もCBTでの実施のみでしたのでまたパスしました。その後今後筆記試験に戻ることはないと言う方針が示されたので、その年の秋試験を受験しました。やはりページ数が多く実務知識や数学力が問われる午後問題を慣れないPC画面上で解くのは難しく、午後試験で惨敗しました。まるでネットサーフィンしているようで頭が問題と格闘しないのです。
そこで翌年春に一番苦手だったアルゴリズムからの出題がない1つ格上の応用情報技術者試験(IT偏差値65。基本情報は49。TAC)を受けることにしました。応用情報試験は約4カ月の勉強でしたが、午後試験が53%の得点で不合格でした(午前の80問選択式はすれすれで合格。基本情報より倍難しい感じ)ので、もう1回受けたら合格する自信はできましたが、逆に受験する気がなくなりました。それは選択問題で実務では役に立たないけれど得点が取りやすい問題(経営戦略、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査)を選択する人が多く(私も)、応用情報技術者試験に合格してもIT実力の証にはならないと分かったからです。県警のサイバー対策要員の採用では応用情報技術者試験合格を応募条件とするところがりますが、全く馬鹿げています(大学情報科の推薦入試でも考慮される資格に入っている)。この試験は実務能力とは無関係です。ここで国家試験の無意味さが分かったのですが、せっかく勉強したので基本情報技術者試験はその2か月後に再受験し合格しました。合格できた理由は午後試験がCBT用に出題内容が変更されたからです(アルゴリズムが20問、セキュリティが5問の出題になった。大嫌いなアルゴリズムの問題が初級から中級、上級の問題に分かれ、初級および中級で10問正解できれば(セキュリティ5問正解で)合格できるようになった。)
今年10月には宅建の試験を受け合格しましたが、これの勉強も只管過去を解くだけです(期間3カ月)。宅建の試験でも過去問から繰り返し出題されており、過去問を繰り返しやると問題と回答が頭に記憶され、50問中30問は正解出来ます。合格点は大体7割(35問)前後なので、あと5問を上積みする必要があるのですが、この分は民法などで応用力が必要な問題になっており、暗記ではなく解法(法的考え方)を身に着ける必要があります。宅建を2回,3回と落ちている人はこの部分が足りないことなります。(尚基本情報技術者試験はCBT試験になり相当合格率が上がった(20%台から40%台。現在試行錯誤中で今後20%台へ落として行く)ようですが、宅建より遥かに難関です。宅建のあと勢いで受ける試験ではありません。)
その後youtubeで鍼灸師や看護師、薬剤師などの国会試験対策ものを見ましたが、いずれも過去問の解説が中心となっています。これらの国家資格取得者も過去問を暗記して国家試験に合格していることが分かります。このやり方では実務では全く使えません。このように筆記試験だけの国家資格は実力を表すものではありません。これで一番心配になるのは医師であり、医師国家試験合格というのは医師を信用する根拠にはなりません。