地裁決定文に憲法条文誤記でAI裁判官待ったなし

菊池事件の再審請求を棄却した1月28日の熊本地裁の決定文に「憲法39条3項」という存在しない条項が記載されていたという報道です。

菊地事件は、

・1952年、ハンセン病患者とされた男性が役場職員を殺害したとして殺人容疑で逮捕された。

・当時、国がハンセン病患者の強制隔離政策を進める中、殺害された職員は男性が患者であるとして熊本県に告発していて、その告発を恨んでの犯行とされた。

・男性は無実を訴え、また医師の診断書を基にハンセン病であることも否定。 しかし、隔離された療養所内の「特別法廷」で裁判が開かれ、熊本地裁は死刑判決が言い渡した。 男性は最高裁まで争ったが死刑判決が確定し、3回目の再審請求が棄却された翌日の1962年に、死刑が執行された。

・その後、2017年にハンセン病の元患者たちが国を訴え、「特別法廷」を憲法違反とする判決が熊本地裁で確定。これを受けて遺族が熊本地裁に再審を申し立てていた。

これを見ると問題がありそうな事件ですが、ここでは触れません。ここで注目するのは熊本地裁の再審棄却決定文に憲法に存在しない条文が記載されていたことです。ここで記載されていた憲法39条は

第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

であり、一事不再理を定めたものです。本文のみであり、第2項や第3項はありません。裁判官がこれを見落とすなど常識的には考えられません。地裁の裁判は事件の重要性に応じて裁判官1人で行う場合と3人で行う場合があるようですが、本件は再審請求で争点も少ないことから、1人の裁判官が担当したものと考えられます。3人の裁判官で行えば3人が決定書に目を通すので、全員見落とすことは考えられません。ここで分かることは、本件再審請求が最初から棄却と決まっており、裁判官は深く検討しなかったということです。再審請求の場合、新たな証拠が出てこない限り審議のしようがかいようです。この雰囲気が露骨に出てしまった決定文の誤表記のように思われます。

契約書などの法律文の誤字脱字のチェックは、新米弁護士や会社の法務部に配属された新人社員、省庁の新米官僚の仕事ですが、これを完璧にこなせる者は多くありません。特に頭が良い人は1字1字読むのではなく文脈で読んでしまうので、不得手です。この結果後日誤字脱字が見つかり上司が大恥を書くことになります。結果誤字脱字を見落とした担当者はこっぴどく怒られることになり、場合によっては「こいつは使えない」というレッテルを貼られてしまいます。誤字脱字のチェックはそれくらい重要な仕事です。

今回のミスは裁判官が補助者に任せていて起こったとも考えられ、もしそうなら補助者は大変つらい立場になっていると予想されます。そこで考えられるのが裁判へのAIの活用です。裁判は原告被告の双方が出す証拠と解決の基準となる法律条文および類似の判例に基づいて行われますから、判断は人間よりもAIが正確と考えられます。もしAIに司法試験を受けさせれば、短答式は満点で、論文式は人間が採点するので満点でなくても高得点となります。論文式ではAIよりも高得点をとる受験者がいるかも知れませんがほんのわずかです。現在の司法試験は旧司法試験に比べ大幅に易しくなっており、裁判官任命者のレベルも相当下がっていると考えられます。この影響で今後とんでもない内容の判決が出てくるのは避けられないことから、AI裁判の導入が急がれます。