予算の支出に国債償還費を計上するデタラメ

2026年度予算案は総額約122兆円となっています(以下「約」は省略する)。これには会計知識がある人でも見逃している壮大なトリックが隠されています。今日はそれを解き明かしていきます。

122兆円の予算の内支出は

社会保障費 39兆円

国債費   31兆円

・利払い費 13兆円

債務償還費 18兆円

地方交付金 21兆円

防衛費   9兆円

公共事業費 6兆円

文教科学費 6兆円

予備費   1兆円

その他   9兆円

に分けられています。

収入は

税収    84兆円

新規国債  30兆円

その他収入 8兆円

となっています。

ここで問題になるのが国債費のうち債務(国債)償還費18兆円です。これは期限の来た国債の償還にあてる資金です。この資金は新規国債を発行して調達されます。新規国債30兆円の用途は国債償還用の18兆円とそれ以外の12兆円に分けられることになります。「なるほど」となりそうですが、ちょっと考えてみて下さい。国債は一般家庭で言えば銀行借入です。国債償還費は住宅ローンの借り換えみたいなものです。住宅ローンの借り換えは費用でしょうか?費用は使ったら戻ってこないものです。住宅ローンの借り換えは代わりのローン資金が入ってきます。従って費用ではありません。貸借対照表では負債項目に計上され、損益計算書の費用項目には載りません。国の予算では負債項目を費用項目に潜り込ませているのです。なぜかと言うと税収不足を大きく見せるためです。国債償還費用を支出から除くと支出は104兆円となり、新規国債の発行額が30兆円から18兆円減って12兆円となります(18兆円は借換債で新規発行ではない)。

現金収支でみると今の予算案表記が正しいように思われますが、今の予算案表記は貸借対照表、損益計算書、資金収支表をごっちゃにしており、正しい把握の仕方とは言えません。

そもそも国債は資金調達手段であり費用ではありません。これを償還費用とするのは、国債をビルなどの固定資産と考えて減価償却費を計上するようなものです。今の国債は1967年以来60年で分割償還されるというルールで運用されています。しかし実際は借換られており、分割償還(その分消えてなくなる)されているわけではありません。また分割償還する必要もありません。もし60年で分割償還するのなら、国債で調達した資金は元金が確実に戻ってくる用途(資金運用)にしか使えないことになります。実際は赤字資金の穴埋めに使われていますから、償還はあり得ません。なぜこういうことになったかと言うと、国債は当初建設国債のみが考えてられており、例えば建設国債が充てられた高速道路建設費用は通行料金で償還が可能だったからです。その後赤字国債の発行が始まりましたが、建設国債の60年償還ルールがそのまま赤字国債にも適用されているのです。

これがおかしいことは米国などの諸外国で予算の支出には国債償還費用は計上されていない(国債利払い費だけ計上)ことからも分かります。国債は資金調達の手段であり、損益計算書ではなく資金収支表に登場します。担保や信用があれば赤字でも銀行から借り入れできるように、国債も国の信用があれば発行できます。

従って、今の予算は次のように書き換えるべきものです。

収入104兆円

・税収     84兆円

・新規国債   12兆円

・その他収入   8兆円

支出104兆円

・社会保障費  39兆円

国債利払い費 13兆円

・地方交付金費 21兆円

・防衛費    9兆円

・公共事業費   6兆円

・文教科学費   6兆円

・予備費     1兆円

・その他        9兆円

国債残高表

・国債残高 1,145兆円

 

この場合国債残高が最終的にどのようになるのか心配になりますが、この数字は国債を管理するための方便(手段)であり、簡単に消し去ることが出来ます。日銀が国債を全額買入れ(いまでも半分は買い入れている)、日銀券と相殺すればよいのです。

日銀バランスシート

資産  国債1,145兆円   負債 日銀券1,145億円

相殺伝票(逆仕分け)

日銀券1,145兆円  国債1,145兆円

相殺後の日銀バランスシート

資産 国債 0 負債 日銀券0

これで世の中から国債1,145兆円と言う存在は消えてなくなりますが、世の中のお金の動きは全く変わりません。こういうことが出来るのは、日銀券が架空の負債(債権者がだれもいない=無くなっても誰も困らない)だからです。国債1,145兆円と言う数字は国の財政を管理するための数字(備忘録)に過ぎず、消し去っても何の問題もありません。債務未払いや借金の未返済とは全く違うのです。このことを国民が知らないのは、官僚と新聞がタッグを組んで真実を国民に知らせないようにしているからです。高市政権の積極財政は、このカラクリが分かっているから出てくるものです。予算の支出122兆円のうち債務償還費18兆円は架空の支出(費用)であり、この分予算が窮屈になっている、成長投資が出来なくなっている、実際はもっと予算を増やしても問題ないのだというわけです。この18兆円を防衛費増額にあてれば増税する必要はないということになります。実際米国ではこの分軍事費が膨らんでいます。