日産よりホンダの自動車部門が危ない!

日産とホンダが2026年第三四半期決算(累計)を発表しました。

日産は、売上高8兆5,779億円(前年同期比-6.2%)、営業利益-101億円(前年同期は640億円の黒字)、経常利益-1,108億円(前年同期は1,594億円の黒字)となっています。これを見るとまだまだ厳しそうですが、第三四半期3カ月で見ると営業利益は175億円の黒字となっており、リストラが進み営業段階では黒字転換したことが伺えます。この最大の原因は広告宣伝費や販売諸費などの販売管理費の減少(1,145億円)です。給料・諸手当は176億円しか減っておらず、正社員のリストラにはまだ未着手のようです。キャッシュフローを見ると営業キャッシュフローは1,323億円のプラスとなっていますが、これは法人税等支払い額の減少など非利益要素によるものです。財務キャッシュフローは4,315億円のプラスとなっています。銀行取引では長期借入金の返済が1兆4,794億円ありましたが、同借入は1兆1,901億円に留まり、都合約3,000億円の資金不足が生じましたが、社債を1兆1,766億発行して乗り切っています。

販売台数を見ると国内販売台数は40万2,977台で前年同期比で15.2%減少、海外販売は279万9,160台で前年から2.6%減少しました。海外販売を地域別で見ると、北米が131万3,032台で前年より2.2%増加、欧州は32万9,557台で7.2%減少、中国は65万3,024台で6.3%減少、その他地域は50万3,547台で6.3%減少しています。北米での増加は明るい兆しです。

これらを見ると経営再建は構造改善(設備の廃棄)を中心に進んでいることが伺えます。

一方ホンダは、売上収益15兆9,756億円(同-2.2%)、営業利益5,915億円(-48.1%)、税引き後利益5,192億円(-39.7%)となっています。営業利益を二輪車部門と自動車部門に分けてみると、二輪車部門5,465億円の黒字に対して自動車部門は1,664億円の赤字となっています。自動車部門の赤字の原因は、EV車の販売が伸びないことにより約2,800億円の減損損失および費用を計上したのが大きな原因です。これを除くと約1,100億円の黒字になります。これでも営業利益率は約1.1%であり、低収益となっています。

販売台数を見ると、国内販売台数は61万9,400台で前年同期比で7.3%減少、海外販売は290万2,505台で7.6%減少しました。海外販売を地域別で見ると、北米が162万6,143台で前年より0.6%増加、欧州は8万8,680台で10.9%減少、中国は64万6,971台で24.2%減少、その他地域は54万711台で5.4%減少しています。ホンダも北米での増加が唯一明るい兆しです。

地域別販売台数で見るとホンダは日産を北米で約30万台、国内で約22万台上回り、欧州では逆に日産がホンダを約24万台上回り、中国では互角です。
この決算を見ると日産およびホンダ(の自動車部門)は共に単独で生き残るのは困難です。両社の統合話は2025年1月に破談となっていますが、最近になって日産の米国工場でホンダ車を生産する話やホンダが日産にハイブリッド車の技術を提供するなどの話が出て来ています。世界の自動車業界を見ると残った組み合わせは日産・ホンダくらいしかなく、両社は経営統合に向かう可能性が高いように思われます。この場合ホンダは持株会社のもと自動車部門を子会社化し、日産と統合することになると思われます。ただしステランティス(クライスラー・プジョー・ファットが統合)を見れば分かるように、弱者同士の統合は上手く行っておらず、統合会社で大リストが行われることになります。今の両社の経営陣をみるとホンダより日産の方が優秀と言う印象であり、統合会社の経営は現日産経営陣が主導した方がよいように思われます。少なくとも現ホンダ経営陣に統合会社を経営する能力はないと思われます。

ただしホンダは日産と統合するよりトヨタグループ入りした方が明るい展望が開けます。ホンダは開発範囲を広げ過ぎであり、FCVやハイブリッドなど両社で重複する開発を統合すればホンダは身軽になれるし、ホンダジェットにトヨタが資本参加すれば旅客機開発まで進めるなど可能性が広がります。私はこちらがお奨めです。