平和ボケした政府自民党の武器輸出案

自民党安全保障調査会は2月20日、党本部で防衛装備品の輸出規制である「5類型」の撤廃を求める提言の骨子案を了承し、今後政府で了承される見込みです。

骨子案は5類型を撤廃し殺傷力のある武器を輸出できるようにすると盛り込みましたが、対象は防衛装備品・技術移転協定を結ぶ国に限定するとしています。

ただし武力紛争の一環として戦闘している国は「特段の事情がある場合を除き」原則として輸出を禁じ、「日本の安保上の必要性を考慮」して容認できると解釈する余地は残しています。

現行の運用指針では、輸出可能な装備品を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型に限定しています。そのため武器の輸出が殆どできないばかりか、国内生産の武器は武器輸出国の武器に比べ性能が著しく劣ると言われています。韓国は北朝鮮との軍事緊張を抱え、武器の開発と生産に力を入れており、ウクライナ戦争を機会にポーランドなどの欧州諸国や中東などに輸出を拡大し、2024年には輸出額が1兆円を超えたと見られています。日本も昨年8月オーストラリアに護衛艦を輸出する契約がまとまりました。これはドイツ、韓国と競って勝ち取ったものですが、オーストラリアが中国対策として日本と組んだ側面があり、本当に武器商戦で勝ったのかは不明です。オーストラリアは装備の改良も求めており、武器の輸出は性能向上に繋がります。日本の武器は国際評価に晒されておらず、かってのパソコンや携帯電話などと同じくガラパゴス化している可能性が大です。日本の武器を国際的にトップレベルの性能にするには、海外軍隊の評価が不可欠であり、輸出競争の舞台に立つ必要があります。そのためには韓国企業と同様な輸出条件にする必要があります。

その点で気になるのが殺傷能力の高い武器については、政府が関与し輸出国も制限していることです。そもそも殺傷能力の高い武器でなければ購入先がないわけで、殺傷能力を問題にするのは武器商談においてナンセンスです。こんな議論は日本がまだ戦争というものを現実的に考えていない証左と言えます。日本は自衛隊の規模が小さいこと、日本人の体格が全般的に劣ることを考えれば、武器は世界トップの殺傷力をもつものを保有する必要があります。そしてそんな武器だからこそ輸出が成立します。現在日本が保有する国産武器で海外が買いたいものは無いと考えられ、そんな中殺傷能力が高いものについて歯止めをかけるという議論は滑稽と言えます。また日本が歯止めを掛ければ相手国も歯止めをかけることになり(相互主義)、日本が紛争に直面したとき欲しい武器を輸出して貰えません。

今回の議論はまだまだ平和ボケしており、現在の世界情勢を考えるともっと戦争と言うものを現実的に考える必要があります。