ニデックでも社外取締役はお飾りだった
3月3日、ニデックが会計不正の疑義を調べる第三者委員会の調査報告書を公表しました。車載事業を中心に減損損失が2,500億円規模になる可能性があるとしています。原因については、創業者の永守重信氏が最高財務責任者や事業責任者に、利益目標達成の過度なプレッシャーをかけためとしています。永守氏は不正会計を命じていないが、一部に不正会計を容認したと捉えられるものもあるとしています。
不正会計の方法としては、資産性がない原材料や製品を資産性があると偽って評価損を計上しなかった、固定資産の減損を回避した、費用の計上時期を先延ばししたなど極めて普通の方法であり、社内チェック体制が働いていたら先ず防げたものです。社内チェック部門が見て見ぬふりをしていたことが伺えます。
ニデックの場合、事業責任者の多くは取引金融機関など社外出身者となっていますが、永守氏の無理難題は社外出身者の出身企業でも多かれ少なかれあったことであり、それ程問題にしていなかったように思われます。むしろこれがニデック急成長の秘訣であり、学ぶべきことと捕らえていたのではないでしょうか。ニデックでは社長候補は頻繁に入れ替えがあっていますが、事業責任者は余り変わっていないように思われます。事業責任者は本件報告書に述べられているような方法を使って生き延びてきたことが伺えます。
ニデックで本件が起きた最大の原因は、職業訓練大学校出身の永守氏が大卒並みの経営者に脱皮できなかったことです。永守氏のライバルとして同じ京都にある京セラ創業者の稲盛和夫氏が上げられますが、稲盛氏は大卒技術者の深い探求力を伺わせる発言や物腰でした。一方永守氏は自分の経験が全ての唯我独尊で、発言や行動に奥深さや慎みが見られなかったように思われます。80歳になっても職業訓練大学校新卒時の意識だったように思われます。ともかく成長しない人という印象です。
ニデックの取締役は現在岸田社長以外8人が社外取締役となっています(社内は永守氏と創業仲間の小部氏が本件に伴い辞任)。社外取締役(1名は社内扱いになっているが経産省出身なので社外扱いとした)8名の出身を見ると官僚が5名、大学教授が2名、弁護士が1名となっており、事業経験者がおらず経営のチェックは不可能な顔ぶれとなっています。永守社長は、社外取締役に経営チェックの機能は期待せず、見栄えのするキャリアの人であればよいと考えていたように思われます。ニデックの社外取締役の欠陥は、多くの上場企業の社外取締役に共通する欠陥でもあります。例えばビッグモーターの損害保険金不正請求事件で問題になった損保ホールディングも13名の取締役の内8名が社外取締役でしたし、日産も12名の取締役のうち8名が社外取締役でしたが、不祥事を発見できなかったばかりか、不祥事露見後も何事もなかったように再任されています。要するに社外取締役には全く責任がないということです。
経営論では社外取締役の人数を増やすことが企業統治力を高めることになると言われ、上場企業では社外取締役の人数を増していますが、会社経営陣の本当の狙いは、経営をチェックする能力の無い人たちを集め、経営監視機能を形骸化することです。最近社外取締役に芸能人や元アナウンサーが就任する事例が増えていますが、この人事から分かることは、社長が独裁的であること(社長が言い出さないとこの人事は不可能)や取締役会に経営監視機能がないことです。
社外取締役は現役の経営者や弁護士、公認会計士、経営コンサルタントなどからせいぜい2,3人に留め、AIによる経営監視システムを強化すべきです。