東京ドームがブロードウェイの劇場化
3月15日(日本時間)米国フロリダでWBC準々決勝日本対ベネズエラが行われ、日本は5対8で敗れました。打者、投手ともベネズエラが優れており、必然の負けでした。1次ランドでは大谷選手、鈴木選手、吉田選手など7名のメジャー選手を擁する日本は楽勝だろうと思っていたら、接戦が多く意外でした。今の時期は選手にとってシーズンに向けた調整の時期であり、本調子には遠いようです。今回日本対オーストラリア戦は1点を争う大接戦でしたし、日本対韓国戦も二転三転するシーソーゲームでした。このような日本戦で満員の東京ドームの観客が固唾を飲んで見守るのは分かりますが、韓国対台湾、オーストラリア対韓国の試合もほぼ満員の観客が1球一打に一喜一憂しました。そして負けたチームの選手は悔しさで泣き、勝ったチームの選手も喜びで涙を流すと言うというエモーショナルなエンディングが見られました。これはシーズン中の試合では見られない光景です。これだけ真剣に見られていると選手も悪い態度は出来ないようで、紳士的に振る舞いが多い印象でした。また試合が終わると野球でもラグビーのノーサイドの精神があるように、相手と健闘を称えあう、応援してくれた観客に整列してお礼を言うなどの光景が見られました。これはメジャーリーグでは見かけない光景です。
日本の野球場とメジャーリーグの野球場では雰囲気が大変違いますが、最大の違いは、メジャーリーグの野球場(ゲームパーク)はゲーム場で、日本の野球場は劇場だという点です。メジャーリーグの野球場は観客が思い思いに野球と言うゲームを楽しむところ、日本の野球場はプロの鍛えられた技術を見に来るところと言えるように思われます。日本の野球場の全ての試合が劇場化するわけではなく、中にはメジャーリーグの野球場同様観客が単に野球の試合を楽しんでいるだけの試合もあります。日本の野球場が劇場化する場合は、例えば昨年3月に行われたメジャーリーグ公式試合のドジャース対カブスや今回のWBCの試合です。ドジャース対カブス戦では、大谷選手の打席ではシーンと静まり返り、投手の投球と大谷選手のバットに観客の視線が集中しました。この静寂の瞬間にはドジャースのカーショー選手も驚いたと言っていました。投げる投手や打つ選手にとっては、大きな劇場で主役になりスポットライトが当たっている気分だと思われます。緊張もするでしょうが、喜びも大きいと思われます。
このように東京ドームは野球ショーの世界最高の劇場であり、ここでの試合を経験した世界の野球選手にとって野球の聖地になっていくと思われます。