司法試験合格者数は500人程度に落とすべき
法学部の凋落(不人気化)が止まりません。今年の入試で東大の文Ⅰ(法学部へ進学)と文Ⅱ(経済学部に進学)の合格最低点を見ると文Ⅰ325点、文Ⅱ330点なり、文Ⅱが5点も高く法学部より経済学部の人気が高くなっていることが伺えます。ただし最高点は文Ⅰ430点、文Ⅱ420点であり、文系の最高頭脳の持ち主はまだ法学部指向があることが伺えます。この学生は法学部を出て法曹になるか官僚になることを考えているように思われます。昔法学部が人気だった頃のエリートコースです。
私も法学部を出ましたが(もちろん東大ではない)、法学部に進学したことを人生最大の失敗だったと思っています。法学部を希望したのは、当時文系では法学部が一番難しかったからで、弁護士になろうとか官僚になろうという目標は全くありませんでした。そのため法学部に進学しても全く法律の勉強に興味がわきませんでした。当時は就職氷河期で4年次に留年して翌年大手メーカーに就職しましたが、留年が決まってからこれではいかんと半年間必死に勉強し、司法試験短答式や国家公務員上級職の1次試験に合格しました。それでも法律が嫌いだったのか試験が終わった翌日には覚えた専門知識を綺麗さっぱり忘れました。ただしこの実績が認められて大手メーカーには採用されたようで、最初に配属されたのは法務部でした。法務部には東大、京大出身者もいて頭脳の差を痛感させられました。その後販売管理部門に移り財務会計知識を身につけることとなり、会社というものが理解できました。民間企業に就職するなら絶対経済学部に進学すべきだと思いました。その後ベンチャーキャピタル業界に転職し、投資のために様々な業界に触れ、また先端科学技術を勉強し、今ではボーダーレスを自認しています。
そんな私の視点で法学部と法曹界を見ると、危機的状態にあると思われます。法学部は世の中のルールを学ぶところであり、よく考えると「そんなにルールに詳しくなってどうするの。創造性0だよ」ということに気付きます。法律には発展性がないのです。法学部出身者のあこがれの職業である法曹(裁判官、検事、弁護士)も、毎日犯罪人や紛争の当事者と接することになり、楽しいことは少ないでしょうし、危険も多いと思われます。それでも司法試験合格者数が500名前後になっていた時代は、法曹職は希少価値があり、弁護士になれば高給が約束されていました。しかし法科大学院制度ができて卒業生の半分は法曹になれる制度を指向したことから、毎年の司法試験合格者が1,500名程度に達し、法曹人口は明らかに過剰となっています。それに当時に比べ合格者のレベルが低下し、法律事務所で実務を勉強したくても雇って貰えずいきなり弁護士事務所を開設する人も増えています。これは勤務医を経ずに個人医院を開業するようなものであり、顧客に迷惑をかけ弁護士の信頼が低下します。約1,500人の合格者のうち質的および数的に法曹としてやっていけるのは、せいぜい1,000人までで、法曹の質と評価を高めようとすれば合格者を旧来の500人まで落とすことが必要です。合格者数が約500名の頃の合格率は1%台であり、そのため司法試験は医師国家試験に並ぶ難関試験と言われました。現在の予備コースを含めた合格率は10%を超えており、法科大学院コースの合格率は50%近くになっています。これは司法試験が法科大学院の卒業認定試験化していることを意味し、難関試験とは言えなくなっています。合格者500人前後の頃は司法試験が誰もが認める難関試験だったことから法学部人気があったのであり、法学部に優秀な学生を集めたいなら、法科大学院制度を廃止し、以前の試験制度で合格者数を500人前後に戻すことが必要です(同時に法学部の定員を半分にする)。