これからは上場を廃止する企業が増える

東証の登録廃止銘柄リストを見ると2026年1月から4月21日までに上場を廃止したまたはする企業として47社が載っています。理由を見ると他社による買収(フジテック、スター精密、住友電設、芝浦電子など)、親会社による買収(日本高周波鋼業、住友理工、SCSK、富士石油、芦森工業、黒崎播磨、キャノン電子など)、MBO(パリミキホールディングス、サンユー建設、杉田エース、ヤスハラケミカルなど)、支配株主による買収(東京個別指導学院、大和通信など)などに分けられます。

5月には久光製薬もMBOで上場廃止しますし、豊田自動織機も豊田家による買収で上場廃止になる予定です。これは東証が上場基準を厳しくしていることもありますが、上場のメリットがない企業が増えていることも背景にあると思われます。

私は長い間ベンチャーキャピタルに居ましたが、ベンチャーキャピタルが当初公開を勧めていたのは長い歴史があるオーナー系の優良企業でした。それはノンリスクで株式を取得でき(上場にためにはある程度外部株主を増やす必要がある)、100%上場できたからです。実はそういう企業は銀行にとっても優良顧客であり、資金調達にも困っておらず、かつ知名度もあり、あまり上場するメリットは有りませんでした。それらの企業が上場したのは、上場企業へのあこがれと相続税対策です。資金調達の目的は殆どなく、上場時に株主基準を満たすために増資をし、それ以降は1度もしていない企業が多いです。これに対して上場すると監査法人監査で数千万円から数億円かかりますし、決算情報の開示にも手間暇かかり、それ用の社員を増やす必要があります。これを考えると成長性のない中堅企業やオーナー企業にとって上場は余りメリットがありません。なのに上場を続けてきているのは、惰性と面子、経営者の思考停止のせいです。経済合理性で考えれば、上場を続ける意味がない会社が多数あります。

最近これに気付いた上場企業が多いように思われます。例えば大正製薬や久光製薬が良い例ですし、今後はいまだにオーナー企業の色彩が濃い企業が続くものと思われます。

これ以外にも外部株主の経営干渉が大きくなり、経営に深刻な支障が出て来ていることも上場廃止を加速する原因になります。例えばフジテレビは村上一族などのアクティビストに狙われ、経営陣はこれへの対策で忙殺されています。フジテレビが狙われるのはライブドアに次ぎ2度目ですし、TBSは楽天に狙われたことがあります。フジテレビもTBSも資金は潤沢であり公募増資の必要性がないことから、上場している必要性はありません。むしろ報道への投資家の影響を防ぐためには、上場しない方がよいくらいです。このことは同じような報道機関である新聞社や雑誌社が上場していないことを考えれば理解できます。従って次はテレビ局の上場廃止が考えられます。

このように上場の効果を検討していくと、全上場企業の半数は上場を廃止した方が良いように思われます。上場は大企業とベンチャー企業にとってしかメリットはありません。